2002 Fiscal Year Annual Research Report
加熱調理において食材に現れる状態変化の巨視的および微視的観察
Project/Area Number |
13680168
|
Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
長尾 慶子 東京家政大学, 家政学部, 教授 (20217970)
|
Keywords | 食材成分 / 相変化 / 温度上昇曲線 / 力学物性 / デンプン糊化 / 熱凝固 / ゾルゲル転移 |
Research Abstract |
1)加熱中の食材成分が示す多様な転移現象を光学顕微鏡の視野のなかで観察し、平成13年度の当該研究で得られた成果,すなわち一定加熱下での各種食材内部における温度上昇曲線やその力学物性に対する相変化の影響等を測定した結果との関連性を追究するため,光学顕微鏡による観測システムの組立や転移現象を顕在化させるための試料調製等に関する予備実験を行なった. 2)本研究において観察の対象としたのは,馬鈴薯デンプンの糊化,鶏卵中の卵黄および卵白各部の熱凝固,および寒天水溶液ゲルのゾルへの転移である.観測システムは,既設の倒立型光学顕微鏡に合わせ,その試料台に設置する温度制御可能な小型試料セルとそれに付設する加熱・冷却のための循環恒温装置,接眼レンズ部へのビデオカメラの設置,検鏡結果のモニタリング用映像設備とそのプリンター等で構成される. 3)水中での馬鈴薯デンプン粒の加熱による膨潤・崩壊とそれぞれの温度との関係は,予測の通り視覚的に捉えることが可能であった.しかし,卵黄中の脂質分散粒子をマーカーとして卵黄の加熱による凝固過程を追跡し・あるいはエオシンで染色した濃厚卵白部の熱変性による形状変化を追跡することは,いずれも視覚的に困難であった.これらの転移現象が,形状変化として捕捉し難い状況にあるためである.寒天ゲルのゾルへの転移を,添加した少量の微細な乳脂肪球の並進拡散による揺動をマーカーとして検鏡する試みも,試料セルの形状から高倍率の対物レンズの使用が不可能であったため,予測した結果は得られなかった.さらに,検鏡には密閉型の試料セルを使用せざるを得なかったため,加熱形式が通常の食材加熱法と異なる点も問題である. 今回の予備実験の結果を踏まえ,検鏡システムの改良を含めて相変化のモニタリングの方法等につき,さらに検討を続ける必要がある.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 長尾慶子: "加熱調理における食材成分の相変化"文教大学女子短期大学部研究紀要. 45. 7-14 (2002)
-
[Publications] 加藤和子, 長尾慶子: "調理文化の地域性-湘南地域における豆およびイも類の調理状況調査からの1考察"東京家政大学研究紀要第43集. 43. 25-32 (2003)
-
[Publications] 大久保洋子, 長尾慶子: "家庭における料理技術に関する研究(その1)"文教大学女子短期大学部研究紀要. 45. 89-96 (2002)
-
[Publications] 青木幸子 他31名: "高等学校教科書 家庭総合"大修館書店. 9 (2002)