2001 Fiscal Year Annual Research Report
中学校数学科における、命題の構成的体系化に基づく論証指導カリキュラムの再構築
Project/Area Number |
13680197
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮崎 樹夫 信州大学, 教育学部, 助教授 (10261760)
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Keywords | 中学校数学 / 図形領域 / 論証 / 構成的体系化 / カリキュラム |
Research Abstract |
本研究の目的は,命題の構成的体系化とテクノロジー利用を軸として、中学校数学科の論証指導カリキュラムを抜本的に再構築し、構築されたカリキュラムに基づく論証指導の有効性を実証することである。 この目的を達成するために,平成13年度には,「命題の構成的体系化」の理論的整備と,次年度に向けての実験環境の整備と予備実験(2)が実施された。 1.「命題の構成的体系化」の理論的整備 (1)数学史における幾何学の成立過程を文献に基づいて考察し,幾何学が仮説化・抽象化を経て,現代的な意味で公理化され,現実世界から切り離され,自己充足な領域になり得たことを特定した。 (2)数学教育史において,現代化運動における体系化・公理化の指導(Krygowska,A.Z.)について文献研究を実施した。その結果,早期から子どもに体系化・公理化のアイデアを習得させる必要性が指摘され,実践されてきたことがわかった。 (3)フロイデンタールによる,「命題の局所的組織化」という枠組みが既に提起されており,本研究の理論的基盤となり得ることがわかった。 2.次年度に向けての予備実験の成果 中学校数学の図形領域の論証において,命題の局所的な準体系に基づいて演繹の基になる命題の正しさを探る活動について,論証を学習する直前の中学2年生1名への教授実験とインタビューを実施した。そして,生徒が局所的な準体系を構成し,演繹の基になる命題の全称性に疑問を感じた後,全称性を再確立する様子を分析した。その結果,この活動が少なくとも6つの相を必要とすることを特定した。また,この活動の価値として次の2点を指摘した:準体系の有用な諸命題の導出可能性に支えられた局所的組織化/局所的な準体系の保持に基づく演繹の意味や役割の尊重。
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Research Products
(1 results)