2004 Fiscal Year Annual Research Report
中学校数学科における、命題の構成的体系化に基づく論証指導カリキュラムの再構築
Project/Area Number |
13680197
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮崎 樹夫 信州大学, 教育学部, 助教授 (10261760)
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Keywords | 中学校数学 / 図形領域 / 論証 / 構成的体系化 / カリキュラム |
Research Abstract |
本研究の目的は,命題の構成的体系化を軸として、中学校数学科の論証指導カリキュラムを抜本的に再構築することである。 この目的の達成に向けて,平成15年度までの主な実績をふまえ,平成16年度には,次の3点について成果をあげた。 (1)経験的アプローチによる,命題の全称性の確立に関する生徒の認識様相の特定 経験的アプローチによる,命題の全称性の確立にかかわる子どもの認識における内的ゆらぎに着目し,質問紙調査を実施した。その結果,特に「現実主義」と「素朴な予定調和」の間にある内的ゆらぎの実相に,少なくとも次の3つがあることがわかった:条件「測定精度の向上」における一致への接近可能性,条件「"特定の"行為者による実験・実測の遂行」における一致可能性,目的「活動の保障」志向による一致の必要性。 (2)命題の局所的組織と現実の関係についての子どもの認識状態の設定 命題の全称性の規準である,現実との対応性を直接的対応性と間接的対応性に区別し,直接的対応性に対する間接的対応性の優位性が認識論的な意義を有することを考察した。そして,中学校数学図形領域において,命題の局所的組織と現実の関係についての子どもの認識に,演繹の基になる諸命題の特定及び直接的対応性に対する間接的対応性の優位性から4つの状態を設定した。 (3)中等学校数学の図形領域カリキュラムの開発と実施 「命題の構成的体系化」に関するこれまでの考察に基づき論証指導カリキュラムを開発し,平成16年9月から平成17年3月まで(全74時間),信州大学教育学部附属長野中学校第2学年にて実施した。毎回の授業にあたって,研究代表者と担当教師が,開発されたカリキュラムにそって授業を考案し,実際に授業を実施・記録し,授業後に研究会をもち次回の授業を考案することを繰り返した。
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Research Products
(2 results)