2002 Fiscal Year Annual Research Report
多分野の人的資源を活用した高等学校生物カリキュラムの新しいフレームワークの開発
Project/Area Number |
13680198
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
丹沢 哲郎 静岡大学, 教育学部, 助教授 (60272142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴岡 義彦 千葉大学, 教育学部, 教授 (80172063)
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Keywords | 高校生物 / カリキュラム / フレームワーク / 科学者 / 現代生物科学 |
Research Abstract |
本年度は,主に科学者を中心として,これからの高等学校生物カリキュラムの教授内容についてインタビュー調査を行った。インタビュー対象者は以下の通りであった。 筑波大学椿啓介名誉教授 岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所小林悟教授 理化学研究所脳科学総合研究センター神経蛋白制御研究チーム西道隆臣チームリーダー 東京大学理学部広野雅文助教授 その他にも,高等学校生物担当教員と理科教育研究者にも一部インタビューを行ったが,彼らによって共通して指摘されたことは,「生物学というのは,物理学や化学と異なり,統一的な概念で教授内容を括るのが難しく,生物カリキュラムの再構成を考えるのであれば思い切った内容の精選が必須である」というものであった。そして生物学の科学としてのおもしろさを追求できるストーリー性をもった内容こそが,これからの社会を生きる子どもたちに必要である点が指摘された。そこで提起された現代生物科学の重要な柱というのは,1)遺伝学(古典遺伝学も分子遺伝学も含む)2)発生学(特に実験発生学)3)進化論(この点は回答者によってばらつきがあった)4)生態学であった。ここに含まれない内容は,上記柱に関連づけて教えるか,思い切って学校教育から削除することが提言された。 本研究グループが当初目論んでいた新しいフレームワークというのは,大きな統合概念による生物カリキュラムの全体的再構成であったため,これら4つの柱のもとにどのようなカリキュラム構成ができるかが今後の課題となる。 なお本年度は,アメリカの20世紀前半に登場したBig Idea Movementを調べることによって,当時生物カリキュラム構成のためにどのような議論が行われたかも検討し,今後の研究の参考とした。その成果の一部は学会において発表を行ったが,これまでに得られた成果は来年度学会誌等で発表の予定である。
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