2003 Fiscal Year Annual Research Report
多分野の人的資源を活用した高等学校生物カリキュラムの新しいフレームワークの開発
Project/Area Number |
13680198
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
丹沢 哲郎 静岡大学, 教育学部, 助教授 (60272142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴岡 義彦 千葉大学, 教育学部, 教授 (80172063)
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Keywords | 高校生物 / カリキュラム / 質的調査 / 現代生物学 |
Research Abstract |
本年度は、アメリカにおける伝統的な高等学校生物教科書と革新的な教科書のカリキュラム内容を分析し、それをカリキュラム・フレームワーク開発に生かすことを目指した。その結果、日本の高校「生物」が従来前提としてきたものと大きく異なる内容構成を採用している事例が多く見られた。つまり、カリキュラムの内容構成については決して固定的に考える必要はなく、諸外国の教科書も参考にしながら根本から考え直す必要性が指摘できた。 また、前年度までに終了できなかった様々な人材(特に若手の理科教育研究者や高等学校の生物教師)へのインタビュー調査を今年も継続して行った。これらの結果は、科学者へのインタビュー・データを補うものとなり、また、考察のための新たな視点を提供した。 最後に、上記結果を総合する中で、これからの新しい高等学校生物カリキュラムのフレームワーク開発を行った。その特徴は、第一に、理系進学者といった特定の生徒ではなく「あらゆる生徒」が学ぶべきであると考える事柄に焦点を当てたこと、第二に、現代生物学の研究状況や、最新の知識体系を反映したものとしたこと、第三に、生物学に関係する現代社会での諸問題も学習の文脈として積極的に採用したことの三点にある。このうち第二と三に関して矛盾が生じないかとの懸念もあるが、本フレームワークはまさにこの点の統合を試みた点に特徴がある。つまり、現代生物学のあり方を可能な限り反映しつつも、現代社会を生きる上で必要とされる生物学的な知識・理解の獲得を目指した。 インタビューの中でも指摘されたように、このようなフレームワークは、いかなる統合的なテーマを採用するかによって多くのものが考えられる。それらを突きあわせた形での活発な議論が今後望まれよう。 なお、本研究の最終成果について、学会誌への投稿準備中である。
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