2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680199
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
上垣 渉 三重大学, 教育学部, 教授 (70252327)
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Keywords | 学制 / 算術教授法 / 師範学校 / 諸葛信澄 |
Research Abstract |
平成14年度における研究では,「学制」期における算術教授法の成立に関する考察を行なった.算術教育課程の創出の場合と同様に,算術教授法に関しても,師範学校の果たした役割には大きなものがあった.師範学校長諸葛信澄の手になる『小学教師必携』(明治6年12月)は近代的教授法に先鞭をつけた書であり,各府県はこれに倣って算術教授法を形成していったのである.その背景には,各府県から推薦されて師範学校に学び,ここを卒業して各府県の教育行政あるいは教育組織で活動した教育関係者の存在があった.たとえば,明治6年7月卒業生の林多一郎,天野皎はそれぞれ『小学教師必携補遺』(栃木師範学校蔵版,明治7年11月),『下等小学教授法略解乙』(明治8年1月)を著している.算術教授法に関する書は,とれらの他にも,筑摩縣師範学校編纂『上下小学授業法細記』(明治7年9月)や鳥海弘毅編集『飾磨縣下等小学授業法』(明治7年9月)がある. これらの諸文献によれば,「学制」期の算術教授法の特徴として,(1)寺子屋での教育とは異なり,一定の教育課程と日課表にもとづいた画一的な一斉教授方式が採用された. (2)数概念の養成にあたって,指・算珠・策なども使用されたが,「算用数字図」「加算九九図」など種々の掛図を中心とした教授法であった. (3)暗算を主とし,答数を機械的に記億する暗誦方式であった. などを指摘することができる.
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Research Products
(1 results)