Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づき,以下の3テーマにつき,教材化学的に新奇の知見を得るとともに,教育現場と協力して新奇教材の妥当性を調べた。 1.光合成とエネルギー問題…クロレラとスピルリナは,OHP光源下,短時間の照射により多量の酸素を発生する。これらの微細藻をポリエチレン袋中に入れ,光照射を行うことにより,季節や天侯に関係なく光合成を観察できる教材を開発した(化学と教育,50巻9号)。その際,光合成の実験に最適な微細藻の種類や濃度を明らかにし,市販品が入手できないスピルリナでは,教育現場で簡単に行える培養法を提示した(化学と教育,50巻11号)。さらに,中学校と高等学校で,微細藻の光合成を地球大気の成因や大気中の二酸化炭素の削滅などと関連づけて教育実践を行い,この題材が環境教育の教材として役立つことを示した(化学と教育,50巻9号)。なお,光合成と同じ仕組みで太陽光のエネルギーを活用する方法として,光増感型太陽電池の試作に取り組み,市販品を改良して安定性の良い電極を作成することに成功し,種々の植物色素(アントシアニン,クロロフィル,カロテノイド)が優れた光増感作用を示すことを明らかにした(化学と教育,51巻3号)。その教材性については,目下詳細に検討中である。 2.植物色素…薄層クロマトグラフィーにより,緑藻,褐藻,紅藻のクロロフィルとカロテノイドを分離・同定する教材については,環境学習の題材としての妥当性を検討中である。江藻,藍藻に特有のフィコエリトリン,フィコシアニンや水産動物(エビ,カニ等)に特有の含酸素カロテノイドを教材化する試みも,ほぽ完成に近づいている。 3.水と葉境…「少量法によるCOD簡易測定法」と「簡易型燃料電池」の環境学習の場面における活用については,目下投稿準備中である。
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