Research Abstract |
本システムSTEJ3では英文の構造を表現する形式と模範解答の構造を表現する形式を提案した.英文構造表現と模範解答構造表現を対応させて,構文要素ごとの和訳を生成できる.英文構造表現から,文の種類,基本文型,構文要素とその名称,単語の品詞などを生成できる.構成する単語の品詞,修飾語の種類と位置,構文要素の名称と位置,節の種類と位置,熟語などの知識から,誤り診断や解説を生成する.模範解答の構造表現として,模範解答の各部分に置き換え可能な語句を列挙し,複数の正解例を表現する.模範解答の構造表現から可能な和訳文に展開して,多数の可能な模範解答を生成する.文型の異なる別解が存在する場合,文型ごとに表現しておく.この表現を用いて,学習者解答に最も近い模範解答(適合模範解答)を生成する. 更に,システムSTEJ3では,教材として基本英文と応用英文を用意した.学習者モデルの学習状態に応じて,単語,文の種類,基本文型,構文要素,英文和訳を学習する. 学習者解答を形態素解析して,結合ルールに従って,単語に対応するまとまりと構文要素に対応するまとまりを生成する.それらを用いて,適合模範解答と学習者解答とを比較して,単語の意味,構文要素の和訳の良さ,および構文要素の順序の良さについて評価する.その評価を用いて,学習者の和訳の誤りを添削し,学習者の和訳の誤りを適切に解説する. 平成13年度の終わりに,本システムを情報系学科の大学4年生9人に利用してもらった.実践の最初において各英文について,和訳の得点が,平均してそれそれ39.9,40.4,39.1点であった.1時間以内で,9人中6人の学習者が,3問について最終的には平均してそれぞれ91.8,89.0,83.0点になり,有効な結果が得られた. システム評価が教師評価より少し低いので,平成14年度は評価方法の問題点を洗い出し,その問題点を解決して,評価をより適切なものに近づけた.その改善の有効性を10人の学習者に学習してもらって,確認した.
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