2004 Fiscal Year Annual Research Report
図形概念の認識論的研究に基づく図形カリキュラムの開発研究
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13680319
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川嵜 道広 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (80169705)
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Keywords | 図形概念 / 認識論的研究 / 哲学的研究 / 数学的意味 / 存在論的考察 / 形而上学的考察 / 数学史的考察 / 図形カリキュラム |
Research Abstract |
図形概念に関する認識論的研究は,図形概念の指導原理を探究し,図形指導のカリキュラム構成原理を考えるための基礎的な研究としての役割がある。 「図形概念の数学的意味に関する認識論的研究」では,図形概念の数学的意味を哲学的および数学史的に解明し,学校数学における図形指導の指導原理を探究する基礎的研究を行った。数学教育における認識論的研究の3つの枠組み(数学的認識論,心理学的認識論,数学教育的認識論)の中の,特に数学的認識論に着目し,存在論的研究,形而上学的研究,数学史的研究の側面から図形概念の数学的意味に関する認識論的研究を展開した。 現実世界に図形が実在するかどうか(実在性),そして数学世界があるかどうかといった存在論的観点や,図形の存在とその正しさ(真理性)をいかに証明するかといった形而上学的観点から図形概念の数学的認識を次のように分類した。 ・現実主義:図形は現実世界に存在しており,具体物を提示することにより真理性を認める ・理想主義:図形は抽象的世界に存在しており,数学であるから真理であると認める ・構成主義:図形は人の心の構成物として存在しており,活動の所産だから真理であると認める そして調査の結果,図形概念の現実主義的特質および経験主義的特質が明らかとなった。 また,小学校と中学校の図形指導の違いを,図形概念の現実性と理想性,経験性と先験性,相対性と絶対性等の観点から探究した。 図形概念の数学的認識の特質から図形カリキュラムについて考えた結果,小学校と中学校の図形指導は連続性を考慮しつつ,別個のねらいに基づいて行われるべきであると論じた。小学校の図形指導においては現実との関連を重視し,「空間性」に着目して知覚的経験に基づく図形のモデル作りを行うことを中心とすべきであり,中学校では論理的展開を重視し,現実との関連よりも数学の「論理性」(構造)に着目させるべきである。
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Research Products
(1 results)