2003 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータを利用した視覚障害者の英語読解力向上のための指導法の開発に関する研究
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13680337
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Research Institution | Tsukuba College of Technology |
Principal Investigator |
青木 和子 筑波技術短期大学, 視覚部・一般教育等, 助教授 (30269287)
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Keywords | 視覚障害 / 英語学習 / 音声テスト / コンピュータ / 合成音声 / DAISY / 語彙サイズテスト |
Research Abstract |
パソコンを活用して視覚障害者の英語読解力向上を目指す3年間の研究の今年は最終年度であった。前半は、昨年度開発した独自のリーディング・サポートソフト(readKON)とそれを活用した英語読書訓練モデル、その訓練モデルに従って行った事例研究のまとめを「成果発表」として国内外の学会に発表した。事例研究では、計4名の被験者全員が、単語認知力、読速度、さらには語彙サイズが向上した。さらに、学習者がパソコンと直接コミュニケートする形の学習法は、学習者の主体性を尊重し、今まで困難であった重度の視覚障害者の自立的な学習を可能にすることがわかった。 今年度の新たな課題として、(1)視覚障害者が取り組みやすい音声サポート付語彙サイズテストの作成、(2)コンピュータの英語および日本語の合成音声を利用した音声版英語テストの開発、に取り組んだ。使用メディアとしてパソコンの他に、視覚障害者用に開発されたDAISYを加え、音声問題(教材)の作成から、実際のテスト実験を通して検証した。PlexTalkはDAISYフォーマットでの録音・編集および、再生が可能な機器で、録音媒体としてはCD-ROMまたはハード(PCカード)を使用する。DAISYフォーマットの利点は、すべての操作がテンキーを主体とした音声ガイドつきボタン操作である事と、再生時に見出し情報、ページ情報、レベル情報等を使い、読みたい箇所へ跳びやすい。また、読み上げ速度を自由に変更できる、最大50時間の録音が可能などが上げられる。しかし、基本的には読書用に開発されているため、これをテストに応用するためには問題作成、録音、編集の仕方等について、認知的に負荷の少ない方法を探る必要がある。実験の結果、DAISY版、ICレコーダ版(PC上で操作)、さらに、合成音声を使う独自ソフトreadKON(英語)とスクリーンリーダ(日本語)を組み合わせた方法のどれも、それぞれの長所,短所はあるがテストメディアとして充分活用可能であるという結果を得た。特に、第3の方法は本研究において追求してきた課題であり、今後視覚障害者の学習環境を改善する上での重要なな示唆を得られたと考える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 青木 和子: "視覚障害者のためのリーディングサポートソフトの活用"外国語メディア学会(LET)第41回全国大会発表論文集. 286-289 (2001)
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[Publications] 青木 和子: "PC読み上げソフトを活用した英語指導-英語点字読みスキルの向上をめざした指導事例-"日本特殊教育学会第40回大会発表論文集. 299 (2002)
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[Publications] 青木 和子, 加藤 宏, 小林 真, 近藤 邦夫: "視覚障害者用英語リーディングサポートソフト-readKONの開発-"日本特殊教育学会第41回大会発表論文集. 341 (2003)
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[Publications] 青木 和子, 加藤 宏, 小林 真, 近藤 邦夫: "Are Visually Impaired Students slow readers? - What reading support software can do for them?"Eurocall 2003 発表論文集. 39 (2003)
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[Publications] 青木 和子, 加藤 宏, 小林 真, 近藤 邦夫: "弱視者のための英語読みスキルアップ指導-リーディングサポートreadKONの開発とその活用"筑波技術短期大学テクノレポート. 10(2). 1-8 (2003)