2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680354
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 京子 名古屋大学, 留学生センター, 教授 (00210005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 裕 名古屋大学, 留学生センター, 助教授 (40271407)
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Keywords | ブラジル人児童・生徒 / コンピュータ教材 / CAI開発 / 算数文章題 / 日本語版問題 / ポルトガル語版問題 |
Research Abstract |
平成13年度は、日本の公立小・中学校に在籍する外国人児童、特にブラジル人児童・生徒のためのコンピュータ教材の開発を目的とした基礎研究及び予備開発を行なった。基礎研究を村上が主に担当し、CAI開発を大野が行った。 基礎研究として、まず教師へのインタビューや児童の観察から、日常生活では支障のない程度に日本語を習得していても、学習場面では日本人児童・生徒についていけない外国人児童の問題点を整理した。次に、学校で使われている教科書の分析から、算数の文章題は小学校低学年から3, 4年生にかけて急激に難度が増し、その後の学習の躓きの原因になっていることがわかった。そこで、小学校3年までの文章題に用いられる用語や表現、形式を整理し、基本的な四則計算を用いる典型的な文章題を抽出した。これらの問題のポルトガル語版を作成し、ポルトガル語が話せても読めない児童のために音声テープを作った。文章題の理解を測るために選択肢問題形式にし、日本人児童およびブラジル人児童各約100名に実施した。日本人児童には日本語版のみ、ブラジル人児童には日本語版・ポルトガル語版(音声付)を用いた。この段階では、実施はすべて紙に書かれた問題の答を鉛筆で記入するものとした。この紙版テスト結果の分析から、これらの問題の信頼性が確認された。また、日本語で出題された問題に関しては、ブラジル人児童の正答率は日本人児童に比べ著しく劣っていることが明らかになった。さらに現在の学年や滞在期間に関わらず、小学校低学年の文章題理解ができていないことが確認された。しかし、渡日時期が遅いほど、すなわち高学年になってから渡日した児童ほど正答率は上がっており、ポルトガル語で理解できていれば、日本語でも理解が容易であることがわかった。 以上のことから、1)ブラジル人児童の多くに小学校低学年の段階で躓きが見られること、2)この躓きは滞在年数が長くなっても改善されず、その後の学習の障害になっていること、3)彼らの母語であるポルトガル語で理解できれば、日本語による理解も容易になることの3点が確認された。この結果に基づいて、コンピュータを用いて提供する文章題のレベルや形式を決め、コンピュータ上の作動について検討を行った。文章題問題や選択肢の絵の取り込み作業(雇い上げ謝金)を行い、プログラミングを大野が担当した。実際に使う上での問題点を分析するため、問題をCDに焼付けノート型コンピュータを外国人児童のいる公立学校に携帯し、児童の実施の様子をビデオカメラに録画した。今後の本格実施に備え、問題の量的・質的充実を図るとともに、コンピュータ操作上の問題点の検討・改善も行っていく。
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