2001 Fiscal Year Annual Research Report
留学生のカルチャー・ステレオタイプとその対処法に関する研究
Project/Area Number |
13680358
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
倉地 暁美 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00197922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浜 るい子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20122591)
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Keywords | カルチャー・ステレオタイプ / ジャーナル・アプローチ / 学習支援者 / 外国人留学生 / 多国籍 |
Research Abstract |
本研究では、外国人留学生と日本人学習支援者の異文化間コミュニケーションの深化、相互理解を目的として開発されたジャーナル・アプローチにおけるジャーナルによるインタラクションの分析を行い、そこからカルチャー・ステレオタイプに対する対処法を導く出すことを目的とした。具体的には留学生のカルチャー・ステレオタイプを含んだ言説に対する支援者(教師)の言説と、教師の言説に対する留学生の反応を分析することによって、留学生のカルチャー・ステレオタイプを低減するために、支援者側がどのような対応をすればそれが緩和されるのか、解明を進めてきた。現在はまだデータ分析の中途段階であるが、現時点で言えることは、ジャーナルに出現するのは一般的な漠然としたカルチャー・ステレオタイプではなく、留学生の具体的かつ身近な日々の個人的な生活体験と結び付いたものが多いという点である。すなわち、「単に、日本人は○○である」というより、「自分は日本でこういう体験をした、ゆえにやはり日本人は○○である」という「ステレオタイプ検証・追認型」の言説が多い。このような検証・追認型の言説に対して、教師(支援者)が「日本人は○○だからね」と安易に是認してしまえば、ネーティブであり、かつ教師であるという点において二重に権威の威光を放つ教師の言説に促され、彼らのステレオタイプはますます決定的なものとなる。したがって、支援者は、留学生の異文化での経験(見たこと、聞いたこと、被害を被ったことなど)についての語りを、あるがまま受け止めた上で、(1)このような経験の普遍性と(2)経験を過剰般化することの問題性、限界について、冷静に説明を加えることが効果的である。日本語教師へのトレーニングを行う前段階として、日本語教師のステレオタイプについて解明することの必要性に鑑み、研究計画の段階にはなかったあものを含め、様々な調査を継続実施中である。
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Research Products
(1 results)