Research Abstract |
本年度は,東邦大学,藤田保健衛生大学,大同病院,河合医院,資生堂,メナード化粧品,花王株式会社等の皮膚科学研究者と共同し,東京理科大学学生の協力も得て,研究を遂行した.その主要なものの一つは,(1)皮膚刺激とシャンプーの関係をアンケート調査で探索的に調べたことである.すなわち,探索目的のアンケート用紙を設計し,回収したアンケートに基づいて,どのようなシャンプーがどのような傷害を発生させているか,頻度解析とクラスター分析で調べた.その結果,上記の皮膚科に来院する患者においては,アトピー体質の患者の方が一般の患者より,髪の生え際に傷害を生じやすいことを確かめた.また,刺激性に関してシャンプーが4クラスに分けられるという結果を得た.主要な研究の他の一つは,(2)皮膚刺激性評価の判定スコアの安定性を,判定実験のデータを通して吟味したことである.すなわち,パッチテストで生じた症状を,79種類の写真資料に収め,35人の専門家に盲検的に判定してもらい,判定者内での判定の一貫性,肉眼判定と写真判定の差異,時期を話しての判定の再現性を実験で調べた.その結果,2回の判定の順位相関係数が0.6以下という不安定な判定者が少なく無いこと,経験年数が多くても判定の再現性が悪い判定者が稀でないこと,などを確かめた.これは判定教育の必要性を示すと同時に,教育に写真が使えることを示している. これらの研究成果は,日本動物実験代替法学会と日本接触皮膚炎学会で口頭あるいはポスターで発表した.現在両学会誌に計3編の論文として投稿する準備を進めている.
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