2001 Fiscal Year Annual Research Report
アプリケーションに適応した分散共有記憶方式を実現する並列プログラミング環境の開発
Project/Area Number |
13680396
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 謙多郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80178970)
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Keywords | 並列プログラミング環境 / 分散共有記憶 / 科学技術計算 / 生命情報科学 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、さまざまな並列・分散システムのハードウェア基盤に対し、共有メモリに基づく共通のプログラミングモデルを提供するとともに、それぞれの基盤に応じた性能を十分に引き出すことができるよう、メモリ資源を利用者の指定やシステムの自動的な割当てによって配置する新しいプログラミング環境(ミドルウェア)を開発することである。本年度は、大域的なメモリ共有を実現するための操作インタフェース(配列データの読出しと書込み、同期など)および本研究の基礎となるメモリ資源の分散配置、位置づけの機構を実現し、実動するシステムのプロトタイプを完成させた。また、遺伝子クラスタリング、配列のマルチプルアラインメント、分子動力学計算など、生命情報科学の具体的なアプリケーションに対して開発したシステムを適用し、高速化に対するアプリケーションレベルからの検討を行った。とくに、本研究で新たに開発した同期オブジェクトの機構により、利用者が指定する単位でデータ非同期読出し/書込みを容易にプログラミングできるようになり、データの転送と計算を効率的にオーバラップさせることができるようになった。本システムをクラスタ型並列計算機上に実装し、その上に上記のアプリケーションを実現して性能評価を行ったところ、従来のMPIを使って並列化したプログラムよりも概して高い性能を示し、また、プロセッサ台数が12台程度までは、プロセッサ台数にほぼ比例した性能を達成することが確認された。実行時にデータの配置を動的に変更する機能については、次年度に実現する予定であるが、本年度は、そのための基礎となるデータの位置づけ機構を実現した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 門田幸司: "Preprocessing implementation for microarray(PRIM):an efficient method for processing cDNA microarray data"Phisiological Genomics. 4, 3. 183-188 (2001)
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[Publications] 池口満徳: "Molecular dynamics study on hydrophobic effects in aqueous urea solutions"Journal of the American Chemical Society. 123,4. 677-682 (2001)
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[Publications] 繁田聡一: "Access route control by extended key/lock scheme"International Journal of Computer Systems, Science and Engineering. 16,5. 319-325 (2001)
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[Publications] 繁田聡一: "キー/ロック方式の拡張によるアクセスルートコントロール"情報処理学会論文誌. 42,6. 1545-1556 (2001)
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[Publications] 中村周吾: "A new method for parallel computation of Hessian matrix of conformational energy function in internal coordinates"Journal of Computational Chemistry. 23,4. 463-469 (2001)
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[Publications] 清水謙太郎: "コンピュータを用いたタンパク質の立体構造予測"日本農芸化学会シンポジウム「ポストゲノム時代の植物科学」予稿集. 36-38 (2001)