2002 Fiscal Year Annual Research Report
アプリケーションに適応した分散共有記憶方式を実現する並列プログラミング環境の開発
Project/Area Number |
13680396
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 謙多郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80178970)
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Keywords | 並列プログラミング環境 / 分散共有記憶 / 科学技術計算 / 生命情報科学 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、さまざまな並列・分散システムのハードウェア基盤に対し、共有メモリに基づく共通のプログラミングモデルを提供するとともに、それぞれの基盤に応じた性能を十分に引き出すことができるよう、メモリ資源を利用者の指定やシステムの自動的な割当てによって配置する新しいプログラミング環境(ミドルウェア)を開発することである。本年度は、昨年度に引き続き、大域的なメモリ共有を実現するための操作インタフェースおよび本研究の基礎となるメモリ資源の分散配置、位置づけの機構を実現した。とくに、データ領域の割当てについては、連続領域(セグメント)を単位として割り当て、これをアドレス空間にマップしてアクセスするようにした。セグメント単位のレプリケーション、マイグレーション、バッキングストアに対する非同期入出力、利用者のアクセス単位であるリージョンとのマッピングなどの機構を実現した。また、Gird環境への適応を想定し、MPIによらずソケット上に、プログラミング環境を実現した。さらに、メモリマップトファイルを用いた領域の割当てにより、オン・メモリのセグメント操作による高速化が実現され、32ビット物理アドレス空間でも、より大きなストレージを利用できるようになった。開発したシステムを、遺伝子クラスタリング、配列のマルチプルアラインメント、分子動力学計算など、生命情報科学の具体的なアプリケーションに対して適用し、高速化に対するアプリケーションレベルからの検討を行った。その結果、オン・メモリのセグメント操作および非同期入出力の効果が、各アプリケーションの性能向上に大きく寄与していることがわかった。レプリケーションとマイグレーションの効果については、その方式の開発が終了次第、評価が行えるものと期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 野本享: "Distributed shared arrays : Portable shared-memory programming interface for multiple computer systems"International Journal of Computer Systems, Science and Engineering. (印刷中). (2003)
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[Publications] 金子済: "Preemptive resource management : Defending against resource monopolizing DoS"Proceedings of IASTED International Conference on Parallel Computing and Networks. 318-327 (2003)
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[Publications] 関嶋政和: "Automatic improvement of scheduling policies in Parsley parallel programming environment"Proceedings of the Parallel and Distributed Computing and Systems 2002. 380-385 (2002)
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[Publications] 渡辺恭男: "Parallel programming environment based on distributed shared arrays : Design and applications to molecular biology"Proceedings of the Third International Conference on Parallel and Distributed Computing, Applications and Technologies. 44-51 (2002)
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[Publications] 中村周吾: "New method for parallel computation of Hessian matrix of conformational energy function in internal coordinates"Journal of Computational Chemistry. 23,4. 463-469 (2002)
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[Publications] 清水謙多郎: "分子動力学シミュレーションの並列計算"化学フロンティア. 50-62 (2002)