2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680438
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
櫻井 彰人 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00303339)
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Keywords | counter言語 / 再帰型神経回路網 / 確率的学習アルゴリズム |
Research Abstract |
本年度の研究成果を3項目に分けて記す。 (1)counter言語の表現能力 (2)counter言語を処理するための再帰型神経回路網の能力 (3)再帰型神経回路網の学習アルゴリズム counter言語の表現能力について、{a^nb^nc^n…}型の言語に関してはよく研究されていたが、「言語らしい」言語に関しては研究されていなかった。今年度の研究では、次の予想を立てることができた。すなわち、LL(k)言語に対しては、入力文字列をtwo-way read-only tapeと考えることにより合文法性のチェックが可能となる。ただしparsingが線形時間ではないという問題があり、自然言語との関連を追及するためには、更なる特徴づけが必要である。 再帰的神経回路網の能力に関しては、かなり詳しい性質が分かってきた。第一に、標準シグモイド関数等のPfaffian方程式の解を出力関数とする素子からなる再帰型神経回路網において、動的システムが生成するすべての軌道が周期点に収束するなら、counterが実現できないことが示せた。このことから、神経回路網が線形時間言語処理を可能とするには、カオス的軌道を生成しうる必要があることがわかる。しかし、現在、標準シグモイド関数の場合には、カオス的軌道があっても線形時間言語処理ができないことを推定するに到った。詳細な証明が今後の課題である。 再帰型神経回路網の学習として、離散的な出力関数をもつ素子からなる回路の学習アルゴリズムを考案した。これは、上記の研究成果からわかるように、(理論的極限としての無限精度を有する)実数値回路が、かなり制限を緩めても、必ずしも向上した計算能力を有しないということが推定されるに到ったからである(完全な無限精度・ノイズなしとすれば別)。確率的アルゴリズムを考案し、それにより有限状態オートマトンが学習できることを確認した。
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