2001 Fiscal Year Annual Research Report
ローレベル追跡とハイレベル追跡を確率的枠組に統合したロバストな自動車の実時間追跡
Project/Area Number |
13680442
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 ジェーン 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70251882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 宏一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80273283)
渡邉 豊英 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80093342)
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Keywords | 自動車追跡 / 自動交通監視 / 隠れマルコフモデル / 画像分割 / 画像分類 / 移動物体追跡 |
Research Abstract |
本研究テーマにおいて本年度取り組んだ課題内容は、以下の2フェーズからなる。 第一に、自動車追跡技術におけるロバスト性向上の主な障害は自動車の影であるという認識にもとづき、交通監視映像において、前景(自動車)、背景とともに自動車の影をもモデル化することが可能なHMMをベースとする領域分離手法を提案した。他のアプローチとは異なり、本提案手法では、パラメータ学習のためのデータを特別に用意する必要はない。隠れた状態ごとの観測分布関数を含む、未知のHMMパラメータはすべて、通常のビデオシーケンスから自動的に学習されるからである。ある位置の一つの小領域における時間ステップごとの観測値が、一つのHMMとしてモデル化される。そして、学習時には、近隣の領域の状態に関連なく独立にパラメータ学習がなされる。これに対し、分離を実行する状態見積もりアルゴリズムは、それぞれの小領域に対して、近傍領域の状態を考慮した分離を行う。このアルゴリズムは、過去の観測値にのみ基づいており軽快に動作するので、状態見積もりはリアルタイムに実行可能である。前景物体の時間的連続性の制約をモデル表現するため、状態遷移に制約を設けたHMMを採用した。このことは、ロバストな自動車検出に貢献している。状態見積もりにおける曖昧さは、観測値としての輝度値以外に、高周波領域のウェーブレット係数を第二観測値として導入することによって軽減した。実際に高速道路を撮影した映像を用いた実験では、本手法を用いることにより、リアルタイムに、かつ精度よく自動車を背景や影から分離できることが示された。 第二に、前述の領域分離手法をローレベル追跡機として利用した基礎的な交通監視システムを試作した。HMMの前方状態見積もり手続きによって実現されたイメージ領域分離メカニズムによって、低廉なハードウェアでリアルタイム自動車追跡を可能とした。他の重要な特徴としては、移動する物体の影に対するロバスト性がある(交通や風によるカメラの振動に対するロバスト性もある)。本システムでは、現実世界における位置情報を得るために通常必要とされる正確なカリブレーションは必要ない。システムは、追跡対象エリアを通過する自動車の速度を、4つの対応する点を用いることによって計算する。これら4点の位置は、一般に道路標示によってあらかじめ得ることができる。実験では、車内の速度計の表示を真の自動車の速度と仮定し、追跡システムの計算値と比較したところ、システムの妥当性を検証できた。提案したシステムでは、現在、自動車の速度と車線の情報を得ることができる。 挑戦的な将来の課題としては、我々が開発したHMMベースの追跡部が出力するローレベル情報を、輪郭ベースのハイレベル追跡機構に、同一の確率的枠組みを用いて組み入れることである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 加藤ジェーン, 渡邉豊英: "解説:交通監視映像における背景・物体・影の分割手法 〜自動車追跡のための背景モデル〜"画像ラボ. Vol.12, No.5. 11-14 (2001)
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[Publications] Jien Kato, Toyohide Watanabe: "Improved Observation for an HMM-based Segmentation Method"平成13年度電気関係学会東海支部連合大会講演論文集. 381 (2001)
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[Publications] Jien Kato, Toyohide Watanabe, Hiroyuki Hase: "An HMM-based Segmentation Method with Observation of Wavelet Coefficients for Traffic Monitoring Movies"コンピュータビジョンとイメージメディア研究会. 2001-CVI M-130. 47-54 (2001)
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[Publications] Jien Kato, Toyohide Watanabe, Hiroyuki Hase: "Classifying Traffic Monitoring Movies Using Hidden Markov Models"Proc. of Pan-Yellow-Sea International Workshop on Information Technologies for Network Era. 298-305 (2002)
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[Publications] Jien Kato, T.Watanabe, S.Joga, J.Rittscher, A.Blake: "An HMM-based Segmentation Method for Traffic Monitoring Movies"IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence. (採録済み). (2002)