2003 Fiscal Year Annual Research Report
認知交代機能の解析と非標準計算論を基盤とした人工意識モデルの研究
Project/Area Number |
13680458
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Research Institution | HIMEJI INSTITUTE OF TECHNOLOGY (University of Hyogo from 2004.4) |
Principal Investigator |
松井 伸之 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10173783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒川 悌次郎 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70336832)
FERDINAND Peper 独立行政法人通信総合研究所, 関西先端研究センター, 主任研究員 (40359097)
西村 治彦 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (40218201)
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Keywords | 認知交代 / 意識の切り替え / 確率共振 / 結合振動子ニューロン / 量子ビットニューロン / 四元数 / 結合問題 |
Research Abstract |
平成15年度においては、昨年度からの研究を受け継いだ形で、情報処理システムとして具体的に記述しうる計算モデルとしての意識モデル構築をめざして以下の(1)(2)の研究を主に進めてきた。 (1)各種のシミュレーションにより量子ニューロ計算や四元数体系との融合が引き出す情報処理性能の向上を探る試みを前年度に引き続き行うとともに、課題として残っていた非標準計算論の理論的整備を試みてきたこと。その結果として、情報の複素数表現や四元数表現などの表現記述の実数値記述に対する完全な優位性を明らかにし得た。量子ニューロ計算の記述には必然的に複素数が導入されることがこの研究動機になっているが、非標準計算論に実数値以外の数体系を導入することの意義を探り、符号化問題や色画像処理などへの応用に発展し得た。また、ヒトの運動制御では意識も深く関連すると考えられるので、複雑な運動制御処理への量子ニューロ計算の適用、例えば、倒立振子の振り上げ制御における学習性能評価の観点からもこの手法が優れていることを明らかにし得た。量子ニューロ情報処理における学習能力の発現は、ニューロンの発火、非発火の量子重ね合わせ状態記述と確率解釈の特異性から発現することも数値実験によって明らかにした。さらにセルオートマトンにおけるフォールトトレラント計算手法についても開発できた。 (2)脳の情報処理における"揺らぎ"と"振動"の重要性に着目して、今までにも検討してきた確率共振を考慮した人工ニューラルネットワーク及び結合振動子ニューロンモデルを(1)の研究と融合させる形で発展させ、認知交代間隔のガンマ分布の自然数値パラメータαにおける分布ピークのモデル解釈から意識の切り替え機構としての情報処理システムを明らかにし、さらに視認知における結合問題の記述モデルを構築してきたこと。その結果として、認知交代に意識の切り替えが強く関与しているとの作業仮説のもとに、可能なモデル枠を量子ニューロ計算論に限定せず、その他の非標準計算論を模索して人工意識記述の可能性を探った。結合振動子型や確率共振型およびカオスニューラルネットワークモデルによる意識の切り替えの解析とそのモデル化も行い、結合問題記述の可能性を示唆し得た。さらに視認知の交代実験結果から得られたガンマ分布の形状決定因子における整数値の存在を示し得て、脳に離散量で記述しうるクオンタルな状態があることを示唆し得たが、これは意識の切り替え機構の存在を強く示唆し、意識モデル構築への重要な手がかりを与えた。これらの成果を国内外に広く発表できた点では、当初の計画は達成し得たと考えている。 本年度は、これまでに得られてきた研究成果を国内外に発表することにも重点をおいてきた。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] T.Murata: "Discrete stochastic process underlying perceptual rivalry"NeuroReport. Vol.14, No.10. 1347-1352 (2003)
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[Publications] T.Isokawa: "A Coupled Oscillatory Neural Network Model for Binding Problem"Proceedings of SICE Annual Conference. 1732-1735 (2003)
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[Publications] T.Isokawa: "Defect-Tolerant Computing Based on an Asynchronous Cellular Automaton"Proceedings of SICE Annual Conference. 1746-1749 (2003)
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[Publications] N.Kouda: "Qubit Neural Network and Its Efficiency"Lecture Notes in Artificial Intelligence 2774(LNAI2774), Springer. 2. 304-310 (2003)
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[Publications] T.Isokawa: "Quaternion Neural Network and its Application"Lecture Notes in Artificial Intelligence 2774(LNAI2774), Springer. 2. 318-324 (2003)
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[Publications] N.Matsui: "Neural Chaos Scheme of Perceptual Conflicts"Lecture Notes in Artificial Intelligence 2773(LNAI2773), Springer. 1. 170-176 (2003)
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[Publications] 草道博美: "四元数を基盤としたニューラルネットワークにおける学習能力の解析"計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会講演論文集. 321-326 (2003)
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[Publications] 小村信慈: "画像処理問題における複素ニューラルネットワークの学習特性と汎化能力"計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会講演論文集. 361-364 (2003)
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[Publications] 山崎貴之: "確立共振現象を導入したニューラルネットワーク学習法とその性能評価"インテリジェント・システム・シンポジウム講演論文集. 13. 116-117 (2003)
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[Publications] N.Matsui: "Neural Chaos Scheme of Perceptual Conflicts"Lecture Notes in Artificial Intelligence 2773(LNAI2773), Springer. 1. 170-176 (2003)
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[Publications] F.Peper: "Fault-Tolerance in Biological systems Simulated on Asynchronous Cellular Automata"Proceeding of the 9^<th> International Symposium on Artificial Life and Robotics. 61-66 (2004)
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[Publications] F.Peper: "Fault-Tolerance in Nanocomputers : A Cellular Array Approach"IEEE Transactions on Nanotechnology. (accepted). (2004)
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[Publications] T.Isokawa: "Fault-Tolerant Nanocomputers based on Asynchronous Cellular Automata"International Journal of Modern Physics C. (accepted). (2004)