2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680521
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
臼井 伸之介 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 助教授 (00193871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 義之 独立行政法人産業安全研究所, 主任研究官
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Keywords | ヒューマンエラー / ヒューマンファクター / 高齢者 / 墜落災害 / 精神負荷 / 二重課題法 / 高所作業 / 建設工事 |
Research Abstract |
本研究は、高所作業環境において高齢作業者が受ける心理・生理的負担を測定し、加齢による各種機能低下を明らかにするとともに、いかなる環境条件が作業負担軽減および墜落災害防止に寄与するのかについて、実験的に検討することを目的としている。 本年度はまず高齢者の墜落災害実態を把握するため、200件の墜落災害記録調書をヒューマンファクターの観点から分析した。分析事例の内訳は高齢者(50歳以上)100事例、若年者(20〜39歳)100事例であり、また工事の種類は墜落災害の多いビル工事、木造工事に絞った(それぞれ100事例)。分析から得られた災害発生要因を因子分析した結果、7因子(安全帯省略、手順省略、コミュニケーション不足、誤判断、天候不良、開口部、安全通路)が抽出され、主に高齢者は若年者と比較して、手順省略要因、開口部要因の関与が高いことを見出した。 次に実験棟内に建設した高さ約10mの仮設足場上において、種々の作業条件が高齢作業者に与える心理・生理的負担を、生体情報計測、二重課題法、質問紙法から明らかにする実験を実施するための準備を行った。 実験に先立ち、まず心拍、呼吸など生体情報を計測するシステムを構成し、高所作業環境での生理学的データを計測する技法、処理技術を習得した。また被験者の精神負荷を測定するために課す二重課題法の具体的内容を選定した。すなわち1桁のランダムな数字を2秒に1数字の割合で音声呈示し、被験者は特定の数字にのみ出来るだけ早く音声で反応し、その正誤および反応時間を計測するという課題である。 実験条件は災害事例分析結果等を考慮し、年齢、高さ(地上、6層)、作業床幅(50cm,24cm)、作業負荷の有無とした。また測定項目は歩行速度、心拍、呼吸、姿勢、副次課題反応時間、主観的評価(NASA-TLX)とした。 本年度は予備実験として、高齢者および若年者それぞれ2名に対して実験を実施したが、その結果を踏まえて、今後高齢者若年者各10名を対象に本実験を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 鈴木 芳美, 臼井 伸之介, 江川 義之, 庄司 卓郎: "墜落災害の背景にあるヒューマンファクターに関する調査"産業安全研究所特別研究報告. NIIS-SRR-NO.22. 7-14 (2001)