2001 Fiscal Year Annual Research Report
水道と消防システムを中心とした地震時初期対応に関する研究
Project/Area Number |
13680549
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
難波 義郎 近畿大学, 工学部, 助教授 (40125125)
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Keywords | 兵庫県南部地震 / 大火 / 消防活動 / 消火栓 / 配水池 / 水道 |
Research Abstract |
本年度は,兵庫県南部地震直後の神戸市板宿低層配水区を例にして,震災(漏水)による水道管網の水量・水圧の状況と,神戸市長田区・須磨区の地震後の大火における消防活動による公設消火栓の使用状況と消防力を,神戸市の消防局および水道局の資料に基づいて検討した.すなわち,長田区・須磨区の火災のうち,消防ポンプ自動車が出動して使用した消火栓について,放水台数・放水口数等の消防活動の諸元と,配水管・消火栓の機能について,各火災ごとに詳しく分析した.そして,「なぜ大火になったのか」を検証するため,消防ポンプ自動車が放水した消火栓について,実際に使用した消防ポンプ自動車のノズルの放水口数と,火災拡大を抑制するに必要な放水口数を求めた.必要な放水口数の算出にあたっては,火災および消防に関する諸元について,神戸市の平常時建物火災(昭和49〜昭和59年6月,火災件数1,274件のデータ)より求められた関係式を用いた.分析の結果,板宿低層配水区の唯一の配水池は,地震直後における給水管・配水管の損傷による漏水で,約1時間で水位が0となった.地震直後に配水池のバルブ制御により,配水量を流入量(約1,300m^3/h)程度にしておけば,配水池が15時間にわたり機能しなかった事態は避けられ,消火活動と水道施設の記録から,多数の大火の消防活動において(同時多発火災ゆえに消防力不足したが),多くの消火栓が機能する可能性があったことが判明した.
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