2003 Fiscal Year Annual Research Report
地下水ヒ素汚染問題における自然由来ヒ素含有層の形成過程
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13680599
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
久保田 喜裕 新潟大学, 理学部, 助教授 (40282975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 純治 新潟大学, 理学部, 教授 (30101059)
石塚 紀夫 新潟大学, 理学部, 教授 (10272808)
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Keywords | 自然由来ヒ素 / 潟湖地域 / 泥炭層 / 土壌層 / 泥質細粒層 / ヒ素の濃集 / 佐潟 / 生物濃集 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で,砂丘湖である佐潟の泥炭質堆積物からは50〜100ppmもの高濃度のヒ素が検出された.佐潟は流入河川などない閉鎖系の潟湖である.本年度はとくに潟湖堆積物の高濃度ヒ素の集積要因を検討するため,新潟平野北西縁の佐潟周辺におけるボーリング試料により,堆積相解析を行い,主に埋没潟湖堆積物のヒ素濃度分布に着目した.ボーリング地点は佐潟東方(深度5m),早潟(深度50m),上堰潟(深度10m)の3地点である.ヒ素濃度分析はICP発光分析法で測定した. (1)佐潟東方地区では,G.L.-0.66〜-4.35mまで佐潟に連続する潟堆積物が確認された.潟堆積物は泥炭質シルト〜粘土層で,ヒ素濃度は10〜67ppmを示した.泥炭化(一部土壌化)の強い有機質な層準で40〜67ppmの高濃度を示した.中〜細粒砂層では4ppm程度であった. (2)早潟地区では,G.L.-0.9〜-3.2m(泥炭質),-21.2〜-35.0m(砂質〜泥質),-37.8〜-50m(砂質〜泥質)で潟堆積物が確認された.ヒ素濃度の最高値は泥炭質で80ppm,泥で20ppm,泥質砂でも極細粒砂では21ppmを示した.前浜〜後浜の中粒砂では数ppmであった. (3)上堰潟地区では,G.L.0〜-2.93mまで泥炭質潟堆積物のほか,局所的であるが,G.L.-9.7mで黒色炭質物集積層(3cm)を確認した.ヒ素濃度の最高値は泥炭質堆積物で189.4ppm,炭質物集積層で164.8ppmとこれまでにない高い値が検出された.砂質部では数ppmであった. 本年度の結果からも高濃度ヒ素濃度が検出された層準はいずれも泥炭質や炭質物など有機物の多い層準である.また,今回初めて地表下10m〜50m深度の泥炭質〜泥質堆積物からも高濃度のヒ素が検出された.このことはヒ素濃集と生物作用との関係を再認識させる.
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Research Products
(1 results)