2002 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙線生成核種による森林や草原でのエアロゾル及び硫黄降下物の推定
Project/Area Number |
13680605
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大崎 進 九州大学, アイソトープ総合センター, 教授 (90037276)
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Keywords | エアロゾル / 亜硫酸ガス / ベリリウム-7 / 硫黄-35 / 乾式降下 / 平均滞留時間 / 樹幹流 / 林内雨 |
Research Abstract |
宇宙線生成核種、^7Be(半減期53.3d),^<32>P(同14.26d),^<33>P(同25.3d),^<35>S(同87.5d)は大気中で、宇宙線と空気粒子とが衝突することにより、ほぼ一定量生成され続けており、直ちに空気中のエアロゾル(主成分は細かい土壌粒子や海塩、工場排煙物質など)や硫黄化合物(工場排煙物質や海水から発生する亜硫酸ガスや硫酸塩粒子など)に結合する。したがってエアロゾルや硫黄化合物中の宇宙線生成核種を解析することにより、それらの大気中における履歴、滞留時間や起源などが明らかになる。一方地表からは放射性の気体(^<222>Rnや^<220>Rn)が放出されており、それらの壊変生成物である^<210>Pb(半減期22y),^<210>Po(同138d),^<212>Pb(同10h)も宇宙線生成核種の類似核種として使用できる。 大気中の亜硫酸ガス、エアロゾル、降雨、乾式降下物を10日毎に採取し、それらの試料中の硫黄量および上記の放射性核種を1年間測定した。それらを大気2ボックスモデルから解析し、各月ごとのエアロゾルおよび亜硫酸ガスおよび硫酸粒子の上空での移動量、地表への降下量を求めた。 一方半減時の短い^<212>Pbを利用して用種々の地表面へのエアロゾルの降下(乾式)を直接測定した。半減期が短いので3日ぐらい雨で降下した記録が消え、後は乾式で降下したエアロゾルのみ測定できる。この手法をもちいて、水面、草原、森林、舗装面など種々の地表面への乾式降下量を測定した。その結果は予測されるように起伏の多い地表面ほど乾式降下が多いことが分かった。 さらに森林系生態におけるエアロゾルの挙動を解明するため、杉林において一年間林内雨、樹幹流、および林外雨を10日毎に採取し、放射性核種を測定した。その結果、^7Beの平均滞留時間は60日程度と短く、^<210>Pbは510日と大変長いことがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大崎 進等: "Transfer of ^7Be,^<210>Pb and ^<210>Pb in a forest canopy of Japanese cedar"J.Radioanalytical and Nuclear Chemistry. 255. 449-454 (2003)
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[Publications] 大崎 進等: "Biological induced Po emission from fresh water"J.Environmental Radioactivity. 63. 187-197 (2002)
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[Publications] 大崎 進等: "九州地方で採取した大気中二硫化硫黄・エアロゾルおよび総降下物中硫酸イオンの硫黄同位体比と起源推定"地球化学. 36. 23-33 (2002)
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[Publications] 大崎 進等: "九州・沖縄地方の大気-植物-土壌系における硫黄同位体の動態"地球化学. 36. 127-135 (2002)