2004 Fiscal Year Annual Research Report
不均質な地中における硝酸能窒素浸透プロセスの解明とモデル化
Project/Area Number |
13680610
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
杉田 文 千葉商科大学, 商経学部, 助教授 (40275962)
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Keywords | 不飽和浸透 / 不均質性 / マクロポア / 降水-浸透実験 |
Research Abstract |
平成16年度は、マクロポアを有する多孔体にくり返し降水を与え、降雨特性およびマクロポアの分布特性が、地中における水分および物質移動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした実験を行った。また、既存の数値モデルにマクロポア流の影響を組み込んだシミュレーションを開始した。 細砂(.45m)の上に土壌(.15m)を充填した土槽内(W1m×L3m×D0.6m)に地下水面を深さ0.55mに設定し、土槽の3分の1の部分に100本の互いに連続しないマクロポア(φ=2mm)を人工的に形成した(マクロポア密度100本/m^2、マクロポア体積max. 0.073%)。簡易降水装置を用いて4種類(4.0,6.8,13.0,26.0mm/10min)の異なる降雨強度(降雨量)で降雨を繰り返し与えた。水およびトレーサとして地表に与えた塩素イオンの動きをテンシオメータおよび土壌水の採水・分析により捉えた。降雨時以外は土壌水は上層大気(気温20℃、相対湿度50%、風速1.5m/sec)に蒸発により失われることを許し、蒸発量はウエイィングライシメータにより測定した。 マクロポアの物質浸透への影響は蒸発量・貯留変化量に対する相対的降雨量により、3段階に区分することができた。少ない降雨量(∫P(t)【less than or equal】∫E(t))ではほとんど影響はなかった。中程度の降雨量(∫E(t)+∫ΔS(t)【greater than or equal】∫P(t)>∫E(t))では物質の大きな分散に寄与し、大きな降雨量(∫E(t)+∫ΔS(t)【less than or equal】∫P(t))では物質の早い浸透と大きな分散に寄与することがわかった。そのほか、マクロポア流の発生は降水強度に依存すること、高い先行土壌水分量はマクロポアからマトリックスへの浸透を制限し、物質の縦方向の分散を助長することが明らかとなった。また、既存の不飽和浸透モデルに降雨強度・量により変化するマクロポア流の影響を組み込むことにより、観測された早い浸透および大きな分散がある程度再現できることがわかった。
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Research Products
(4 results)