2001 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ酸塩鉱物の風化過程における表面変化と自然環境に関する研究
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13680613
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
瀬山 春彦 独立行政法人国立環境研究所, 科学環境研究領域, 主任研究員 (40142096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敦 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (80171734)
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Keywords | ケイ酸塩鉱物 / 風化 / 酸溶解 / X線光電子分光法 / 二次イオン質量分析法 / 表面分析 |
Research Abstract |
本年度は、天然に風化した黒雲母劈開面の表面分析(二次イオン質量分析法(SIMS)、X線光電子分光法(XPS))を行い、硫酸酸性溶液と反応(酸液解)させた黒雲母の表面変化と比較することで、ケイ酸塩鉱物の風化メカニズムについて調べた。その結果、酸溶解過程では、黒雲母表面からK、Fe、Mg、Alが選択的に溶出した、二酸化ケイ素(SiO_2・nH_2O)に富む表面溶脱層が生成することが分かった。一方、天然に風化した黒雲母では、酸溶解の場合ほど明瞭な表面溶脱層は見出されなかったが、XPS測定から求めた表面元素組成は、未風化試料に比べ、K、Fe、Mgが減少し、相対的にSi、Alの表面濃度が増加していた。SIMSによる深さ方向分析でも、Si、Alの表面濃度が未風化部分より高いことが確認された。自然界におけるケイ酸塩鉱物風化のメカニズムは、鉱物と反応する溶液(土壌溶液など)の性質(pH、溶存物質など)に依存し、酸溶解過程のような、鉱物構成元素の単純な溶出、溶解だけでなく、反応溶液中の溶存物質の鉱物表面への沈着なども考えられより複雑である。本測定では、Alの挙動について天然の風化と酸溶解に違いが見られたが、溶存Alを含む微酸性〜中性領域の溶液との反応(天然風化)では、ケイ酸塩鉱物からのAlの溶出の抑制や溶液から鉱物表面への水酸化アルミニウムの沈着が考えられ、これが天然風化黒雲母で、Alの表面濃度が高くなる原因と推定される。また、天然風化黒雲母のFe2p_<3/2>結合エネルギー(712.3eV)は未風化試料の値(710.7eV)に比べて高く、風化により鉱物表面のFeの酸化(Fe(II)→Fe(III))が進んでいた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Kobayashi et al.: "Acid Dissolution of Olivines, Feldspars and Dunite."Water, Air, and Soil Pollution. 130. 757-762 (2001)
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[Publications] H.Seyama: "Application of SIMS to the Analysis of Environmental Samples."Applied Surface Science. (印刷中). (2002)
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[Publications] H.Seyama et al.: "Surface Alteration of Plagioclase during Acid Dissolution."Surface and Interface Analysis. (印刷中). (2002)