2001 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中の天然放射性核種-土壌による汚染元素の除去能力と土壌の不均質さ評価への試み
Project/Area Number |
13680614
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤吉 亮子 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70229061)
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Keywords | 土壌 / 天然放射性核種 / 深度分布 / 環境変遷 |
Research Abstract |
環境に放出された重金属元素や放射性核種等の汚染元素の浄化過程において、土壌の果たす役割はきわめて大きい。本研究においては、汚染元素の土壌への収着に関して土壌がどの程度"不均質"であるかを評価する手法の確立を目的とした。用いた土壌試料は2種類である。一方は、平成12年11月から翌13年2月に地震計の設置を目的として北海道大学構内に掘削された扇状地堆積物コア(北海道大学大学院理学研究科 笠原稔教授ら)のうちの表層部分(最表層から深さ3.5mまで)、他方は、平成13年11月にチェコ共和国地質調査所のPaces博士およびドイツ共和国マックスプランク研究所のZimmermann博士のご好意により、現地で採取した森林土壌である。これらの土壌に含まれるK-40およびRa-226の放射能濃度の深度分布を測定し、天然放射能のバックグラウンドレベルを明らかにした。その結果、扇状地堆積物は、その堆積環境を反映してK-40放射能濃度が極小を示す場合があるのに対し、森林土壌のK-40の放射能分布は、土壌の構成成分の割合をほぼ正確に反映していることが明らかになった。また後者においては、1986年5月のチェルノブィリ事故に由来するCs-137の存在も確認され、その深度分布から土壌の年平均堆積速度を見積もることができた。同時に測定したいくつかの土壌特性のデータと放射能濃度の結果とあわせて考察することにより、対象地域の土壌環境の変化、あるいは土壌の不均質性を推定する手がかりを得ることができると判断された。本研究助成により新たに入手できた高性能Ge半導体検出器は、目下バックグラウンドカウントを減少させるための条件設定を行っており、それが完了し次第Pb-210の測定を開始する予定である。
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Research Products
(1 results)