2001 Fiscal Year Annual Research Report
本態性化学物質過敏状態の動物モデルによる機序の解明
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13680635
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
欅田 尚樹 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (90178020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田尾 徹 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (90212901)
笛田 由紀子 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (10132482)
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Keywords | 本態性化学物質過敏状態 / 動物モデル / マウス / MCS / ホルムアルデヒド / 吸入曝露 |
Research Abstract |
化学物質過敏状態の疾患モデルとして、低濃度ホルムアルデヒド長期曝露による生体影響を評価するために、長期間曝露するシステムを構築し、その生体影響について検討した。ホルムアルデヒドガスの発生には、パラホルムアルデヒドからの昇華現象を利用したガス発生装置を用い、設定曝露濃度はWHOの室内環境ガイドライン値の80ppbおよび新築住宅等一部の環境では十分に起こりえる濃度である400ppbとした。BALB/cのメスを3週齢で購入し、4週齢より4週間曝露した。曝露は、夜間帯に実施し、一日16時間、週5日間の曝露を行った。一部のマウスはアレルギーモデルとして卵白アルブミン(OVA)の投与を併用した。曝露終了後に末梢血および脾臓より単細胞浮遊液を作成しフローサイトメーター用試料とし、リンパ球分画の検索を行った。また血漿中総IgEをELISA法にて測定した。その結果、1)曝露期間中の体重増加、解剖時の脾臓、胸腺の相対臓器重量に有意な変化は認めなかった。2)曝露開始前の末梢血リンパ球分画は各群に相違なく、その後の曝露における経時変化においてもリンパ球分画は末梢血、脾細胞とも大きな変化は認めなかった。3)病理学的検討に関しても、マウスの気管・肺を光学顕微鏡を用いて検討した結果、これらの曝露条件においては確認できる病理組織学的な変化は生じないものと考えられた。4)ELISAによるTotal IgEの測定では、OVA投与により有意なIgEの増加を認めたが、ホルムアルデヒド曝露による影響は観察されなかった。以上まとめると、マウスに400ppb、4週間までの曝露では、今回対象とした指標においては有意な変化は見いだせなかった。
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