2001 Fiscal Year Annual Research Report
「有害」な野生哺乳類の空間分布構造に及ぼした人為的影響の定量的把握
Project/Area Number |
13680650
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
三谷 雅純 姫路工業大学, 自然・環境課科学研究所・生態研究部門, 助教授 (20202343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 弘宗 兵庫県立人と自然の博物館, 自然・環境マネジメント研究部, 研究員 (50311486)
坂田 宏志 姫路工業大学, 自然・環境課科学研究所・生態研究部門, 講師 (40301808)
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Keywords | 鳥獣保護管理 / ツキノワグマ / ニホンジカ / 哺乳類 / 空間分布 / 人為的影響 / 地理情報システム / 潜在的生息地 |
Research Abstract |
平成13年度は、環境省などが公開している自然環境情報を利用しつつ、兵庫県県民生活部、兵庫県農林水産部などがこれまで取りまとめてきた野生哺乳類と「有害鳥獣」行政に関わる農林業被害情報の磁気情報化を進めた。同時に、但馬・丹波をモデル地域と捉え、そこで発生している農林業被害状況の情報を、その空間分布に留意して収集した。この情報は、今後解析可能な形に取りまとめる。現在は、兵庫県県民生活部、兵庫県農林水産部と、兵庫県全域を対象としたよりシステマティックな情報集積法についても検討している。 これらの磁気化した情報は自然・環境科学研究所、生態研究部門に集約し、その一部を用いてツキノワグマの近畿・中国地方での潜在的生息適地分布を推定しGIS学会第10回バイオリージョン分科会、日本哺乳類学会などで発表した。 また、平成13年5月に京都府嵐山で射殺されたツキノワグマの検体が回収できたため、生殖可能性の有無や栄養状態など組織学的検討を行うと共に、ミトコンドリアDNAを取り出し、平成12年に六甲山を中心に出没したツキノワグマ個体の毛根細胞に残されたミトコンドリアDNAと比較した。この検討は本研究で行うクマの潜在生息適地と個体の拡散を考える上で重要な情報を与える。 合わせて、兵庫県・大阪府が取りまとめた2000年に六甲山などに異常出没したツキノワグマの移動地選択をロジスティック・モデルを検討することで解析し、結果を印刷公表した(三谷ほか,2001)。さらに、兵庫県域のニホンジカ分布を糞塊密度法から推定するモデルを立て、シカ密度と農業被害の関係を検討し、結果を印刷公表した(坂田ほか,2001)。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 三谷雅純, 三橋弘宗, 魚谷未夏, 坂田宏志, 横山真弓, 朝日 稔: "異常出没したツキノワグマの移動地選択:2000年に六甲山を含む兵庫県南東部,大阪府北部,京都府南西部で目撃された個体のGISによる解析"人と自然. 12. 55-62 (2001)
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[Publications] 坂田宏志, 濱崎伸一郎, 岸本真弓, 三橋弘宗, 三橋亜紀, 横山真弓, 三谷雅純: "兵庫県におけるニホンジカの生息密度指標と捕獲圧,農業被害の関連"人と自然. 12. 63-72 (2001)
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[Publications] 河口洋一, 三橋弘宗, 田中哲夫, 三橋亜紀: "兵庫県周辺地域におけるイワナの潜在生息域の推定"国際景観生態学会日本支部会報. 6・3. 119-122 (2001)
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[Publications] 三橋弘宗, 池田啓: "地図の上で展開する生態学"GIS Japan. 3. 93-99 (2002)
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[Publications] 三谷雅純(共編著): "大屋町史 自然編"大屋町. 783 (2001)