2002 Fiscal Year Annual Research Report
深海釣漁業廃棄物の資源に与える影響評価と除去技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
13680653
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉原 喜好 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10059800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 隆人 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (60205383)
杉田 治男 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50139052)
谷内 透 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00012021)
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Keywords | 漁業廃棄物 / 回収機材の開発 / 高場 / 立延縄漁具 / 深海水中ビデオ / 付着細菌 |
Research Abstract |
平成13年度では回収器材の開発に重点をおき、各種形状の回収具を試作して試験を行った結果、12mmのステンレス丸棒にフックを溶接した型(IV型)が最も効率が良く、長持ちすることが分かった。14年度はこの回収具を用いて、高場周辺の海底地形と廃棄物の回収状況、回収された廃棄物上の細菌相ならびに水槽実験による廃棄物の魚類への影響などを検討した。 回収具の先端に自記記録式深時計(MDS)を装着し、作業中10秒ごとに魚群探知機に表示される深度を読みとったところ、調査対象とした高場は起伏の激しい場所で、船が10m進むうちに高低差20mにもおよぶ場所があることが分かった。しかし、高低差と廃棄物の回収量との相関は認められなかった。そこで、高場を垂直方向に200m以浅、200〜250m、250〜300mおよび300m以深の4階級に分け、回収具がどの深度階級を通過したかによる回収量の差を検討した結果、200m以浅を少しでも通過した場合の平均回収量が最も多く、高場では200m以浅に漁場が形成され、それだけ廃棄物が多いことが分かった。また、200〜250m、250〜300mの2階級ではほぼ同じ回収量であったが、その量は200m以浅の約半分であった。しかし、1回のみであったが、250〜300mを通過した調査で200以浅に匹敵する回収量があったことから、この航跡のどこかに廃棄物が多量に堆積している場所があることが示唆された。通常のナイロンテグス、と生分解性テグスを海中に沈めて付着する細菌ら生分解性バクテリアの検出を試みたが、相次ぐ台風の襲来で、垂下器具が破壊されてしまった。回収された廃棄物上の細菌相の検出を現在継続中である。また、水槽実験による資源への影響を検討したが、廃棄物の存在が魚の行動に与える影響は認められなかったことから、廃棄物の存在は操業への障害、海底景観を損なうという観点で捉えるべきであろう。廃棄物に付着してる生物の薄片標本を走査電子顕微鏡で観察したところ、密度の異なる物質が層構造をなしており、なんらかの成長履歴を示すものと推察されたが、これが天文時間を反映しているかどうかは明らかにできなかった。
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