2002 Fiscal Year Annual Research Report
日独比較による環境負荷の少ない循環型社会構築に関する研究
Project/Area Number |
13680659
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Research Institution | Kobe Yamate University |
Principal Investigator |
FEUERHERD K・H 神戸山手大学, 人文学部, 教授 (00330506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 加都子 神戸山手大学, 人文学部, 助教授 (10330507)
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Keywords | ライフスタイル / 容器包装 / ゴミ問題 / 循環型社会 / 食生活 / ドイツ / 便利さ |
Research Abstract |
人間が何を重視するか、何を好むかといった問題は、それぞれの国の文化や自然的な条件、歴史によるものである。日独のライフスタイルを比較した結果、日本では便利さを追いかけることが目立つ。例えば、日本にある自動販売機の総数は世界一であり、自動販売機による消費電力は、出力110万キロワットの原発1基の年間発電量の8割に相当する。 日独が比較される場合に必ず引き合いに出される例が容器包装ごみの問題である。ドイツでは、デュアルシステムという民間が主体となって行う容器包装ゴミのリサイクルシステムを整備したため、ゴミ問題は解決できたということが非難されている。しかし、日本では、家庭の主婦は夕食のために毎日のように買い物に行き、主食以外に何種類もの料理を準備する。内容も和食、洋食、中華など様々なものが取り入れられる。食材の調達方法も街の市場、スーパーマーケット、24時間営業のコンビニエンスストアから通信販売まで多様である。おまけに翌日配達の宅配便の普及や冷凍技術、真空包装の急速な進展のおかげで、日本のすみずみから産地直送の食材を手に入れることもできる。したがって、日々の消耗品に関わるごみが多く排出され、そのことが日本の環境問題を特徴づけている。ドイツでは消耗品が大量に排出されるようなライフスタイルを受け入れておらず、そのことがドイツの環境との接し方を特徴づけている。 故に、日本とドイツとの決定的な違いは「出口」ではなく、「入口」である。しかし、一度獲得した便利さを失った時の不自由さは耐えがたい。ドイツから学ぶことは、「出口」対策としてのリサイクル方法や法律より、「入口」で一人一人が自分にとって必要かどうかを冷静に判断し、不必要なことを拒否できる主体性である。これは、日本での循環型社会形成推進基本法で明確にされたリデュースを最も優先する基本的考え方と非常にマッチすることが、この研究で明らかになった。
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[Publications] K.H.フォイヤヘアト, 中野加都子: "日本とドイツの比較 -ドイツでゴミが少ないわけ"生活と環境. 47・4. 72-74 (2002)
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[Publications] K.H.フォイヤヘアト, 中野加都子: "日本とドイツの比較 -山紫水明とドイツの殺菌感覚 -その1"生活と環境. 47・6. 67-68 (2002)
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[Publications] K.H.フォイヤヘアト, 中野加都子: "日本とドイツの比較 -山紫水明とドイツの殺菌感覚 -その3"生活と環境. 47・8. 68-69 (2002)
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[Publications] K.H.フォイヤヘアト, 中野加都子: "日本とドイツの比較 -ドイツと日本の若者の環境への意識比較"生活と環境. 47・10. 70-73 (2002)
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[Publications] K.H.フォイヤヘアト, 中野加都子: "日本とドイツの比較 -循環型社会構築への変遷 -日本とドイツ"生活と環境. 47・11. 61-64 (2002)
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[Publications] K.H.フォイヤヘアト, 中野加都子: "日本とドイツの比較 -環境教育の比較 -日本の例"生活と環境. 47・12. 75-80 (2002)