2002 Fiscal Year Annual Research Report
機能性グルタミン酸トランスポーターブロッカーの開発
Project/Area Number |
13680681
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Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
島本 啓子 (財)サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (70235638)
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Keywords | グルタミン酸トランスポーター / ブロッカー / ベンジルオキシアスパラギン酸 / アフィニティカラムリガンド / グルタミン酸受容体 / サブタイプ選択性 |
Research Abstract |
グルタミン酸は哺乳動物の中枢神経系における代表的な神経伝達物質として、記憶や学習といった高次の脳機能を司っており、シナプスでのグルタミン酸濃度はトランスポーター(Excitatory amino acid transporter ; EAAT)により常に低レベルにコントロールされている。我々はL-TBOA(threo-β-benzyloxyaspartate)が強力且つトランスポーター選択的なブロッカーであることを報告してきた。 今年度は、TBOAのベンゼン環上にアミノ基を有する誘導体(A-TBOA)の合成を行った。このアミノ基にビオチンやアミノ酸を結合させることにより、リガンドをアフィニティカラムに結合させることが可能になった。トランスポーター蛋白の3次元構造は未だ明らかになっておらず、このアフィニティカラムを用いて蛋白の精製ができれば、3次元構造や基質結合部分の構造を明らかにできると期待される。さらに、A-TBOAのアミノ基をアシル基で保護することにより、親和性が向上すると共にサブタイプ選択性も向上させることができた。特にベンゾイル誘導体で置換した化合物は、EAAT2に対して強いブロッカー活性を示した。中でも(2S,3S)-3-{3-[4-(trifluoromethyl)benzoylamino]benzyloxy}aspartate(TFB-TBOA)はTBOAの約500倍という強い活性を示した。TFB-TBOAはグルタミン酸受容体に対する作用がほとんどなかった。特にTBOAの有する弱いNMDA受容体結合活性も消失し、TBOAと比べても更にトランスポーター選択性の強いリガンドであった。TFB-TBOAを海馬スライスに投与したところ自然発火頻度の上昇が見られ、トランスポーターの不活性化と痙攣・てんかんの関連性を調べる有用な試薬になることが確認できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Izumi, Y.: "Glutamate Transporters and Retinal Excitotoxicity"Glia. 39. 58-68 (2002)
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[Publications] Leighton, B.H: "A Hydrophobic Domain in Glutamate Transporters Forms an Extracellular Helix Associated with the Permeation Pathway for Substrates"J. Biol. Chem.. 277. 29847-29855 (2002)