2001 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Sp1におけるトランス・スプライシングの分子メカニズムとその生物学的意味
Project/Area Number |
13680684
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤沼 宏史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30012462)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 修一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (20222359)
|
Keywords | トランス・スプライシンズ / スプライシング / 転写因子 / Sp1 |
Research Abstract |
我々は、二つのmRNA前駆体間でのスプライシング(トランス-スプライシング)によりヒトの転写因子Sp1のmRNAの多様性が生み出されているということを示している。本研究は、このトランス-スプライシングの分子メカニズムを解明することと、Sp1 mRNAの生成にトランス-スプライシングが関わることの意味を調べることを目的としている。本年度は、まず、トランス-スプライシングにより生成されるヒトSp1 mRNAはエクソン3-2という構造体を有していることに着目して、Sp1遺伝子のイントロン1からエクソン2までの領域とエクソン3からイントロン3までの領域を独立したmRNA前駆体として同時にヒト培養細胞内で発現させたのち、トランス-スプライシングによる産物をRT-PCR法により検出するという系を確立した。驚くべきことに、この系においては、染色体上の遺伝子発現の場合には起らないトランス-スプライシングも起きることが示された。従って、染色体上の遺伝子の発現におけるスプライシングは、プラスミドに由来するmRNA前駆体間では影響しない何らかの要素により制御されているのではないかと考えられた。そのような要素として、スプライシングacceptor部位とdonor部位の物理的距離を推定した。すなわち、転写途上のmRNA前駆体上で、随時、スプライシングは行われることから、40kb以上という非常に大きなイントロン3が存在することにより、イントロン3上のacceptor部位と次に合成されつつあるmRNA前駆体上のdonor部位の間でスプライシングが起きているのではないかいう仮説を考えた。この仮説を検討するために、大きなイントロンを持ついくつかの遺伝子の発現においてトランス-スプライシングが起っているかを調べた。その結果、大きなイントロンの存在によりトランス-スプライシングが引き起こされる可能性が示唆れた。
|