2001 Fiscal Year Annual Research Report
精子糖脂質膜ドメインにおける受容体と情報伝達分子の集合化
Project/Area Number |
13680686
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授 (80192558)
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Keywords | 膜ドメイン / 脂質ラフト / ウニ / ブタ / 精子 / 卵 / 受精 / 糖脂質 |
Research Abstract |
精子-卵相互作用における機能分子の集合化による糖脂質マイクロドメイン形成の分子機構と機能的重要性を解明することを目的として、以下の課題に取り組んだ。第1に、ウニ精子マイクロドメインにおける分子集合形成の特徴に関して、免疫沈降実験などの結果から、グアニル酸シクラーゼと複合体形成することが知られている分子群が、同一マイクロドメイン上に存在することがわかった。マイクロドメインには機能的同族分子が集合化するものであると考えられる。第2に、異生物種間の共通点と相違点を探ることに関して、海外共同研究者によってブタ精子マイクロドメインが解析された。その結果、糖脂質成分は異なるもののウニと同様にコレステロールに富むマイクロドメインであることが判明し、コレステロールがマイクロドメイン形成に重要であることがわかった。第3に、糖脂質を含むリン脂質/コレステロールリポソームによる分子集合体形成を探る可能性について、リポソームを調製して調べた結果、受精および精子と卵のマイクロドメイン間相互作用がリポソーム局在の糖脂質依存的に阻害されることがわかった。この阻害効果の原因の少なくとも一つは、卵に局在して精子糖脂質と結合する能力をもつ精子結合糖タンパク質に対する競合的結合であることが推定された。第4に、精子マイクロドメインの膜の相転移をフーリエ変換赤外分光高度計を用いて調べた結果、マイクロドメインの融点がきわめて高いことが判明し、硬い構造をしていることが明らかになった。第5に、精子先体反応前後での糖脂質マイクロドメインの集合化に関して、経時的にマイクロドメインを調製してタンパク質成分を調べた結果、三量体G-タンパク質の集合状態が大きく変化することがわかり、シグナル伝達に伴ってマイクロドメイン成分の質的変化が起こることが証明された。これらの成果を、来年度、さらに追認し発展させたいと考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 北島 健: "ナノスケールで語る新しい細胞膜像"化学. 57巻・3号. 24-29 (2002)
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[Publications] kaoru Ohta: "Co-localization of receptor and transducer proteins in the glycoproteins in the glycosphingo-lipid-enriched, low density, detergent-insoluble membrane fraction of sea urchin sperm"Glycoconjugate Journal. 17巻. 205-214 (2001)
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[Publications] Kaoru Ohta: "Lipid raft on gametic cells as a functional domain for sperm-egg interaction coupled with signal transduction"Zygote. 8巻. S63 (2000)
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[Publications] 北島 健: "細胞間接着における糖鎖-糖鎖相互作用"季刊 化学総説. 48号. 199-207 (2000)