2001 Fiscal Year Annual Research Report
微小管損傷で活性化されるBc1-2リン酸化酵素の同定と機能解析
Project/Area Number |
13680726
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 史郎 理化学研究所, 抗生物質研究室, 研究員 (30312268)
|
Keywords | Bc1-2 / ミトコンドリア / リン酸化 / 細胞周期 / ERK2 |
Research Abstract |
Bcl-2のリン酸化の意義を解析するために、Bc1-2低発現細胞であるHepG2細胞に野生型Bc1-2および種々の変異型Bc1-2を発現させ、その機能解析を行った。様々な変異型Bc1-2を細胞に発現させた結果、通常ミトコンドリアに局在するBc1-2から膜貫通領域を欠損させ、局在を変化させた変異型Bc1-2(以後、Bc1-2ΔTMと略)においてBc1-2ΔTMタンパク質が恒常的に(細胞周期非依存的に)リン酸化されていることを見出した。この現象は、他のヒトがん細胞であるHeLa、A431、A549やK562細胞などにおいても観察された。また、in vivoにおけるリン酸化部位の同定を試みた結果,Bc1-2ΔTMタンパク質は87番目のセリンがリン酸化されていることが、変異体を用いた結果から確かめられた。Bc1-2発現細胞に比べ、Bc1-2ΔTM発現細胞ではアポトーシス抑制能が減少していたが、Bc1-2ΔTMタンパク質のリン酸化部位をブロックした変異体であるBc1-2ΔTMS87A発現細胞では、Bc1-2ΔTM発現細胞に比較してアポトーシス抑制能が増加していた。このことから、87番目のセリンのリン酸化はBc1-2の抗アポトーシス活性を弱めていることが分かった。また、種々のリン酸化酵素阻害剤を用いてBc1-2ΔTMリン酸化酵素の同定を試みた結果,MEK1阻害剤のPD98059とU0126がBc1-2ΔTMのリン酸化を抑制することを見出した。さらに、in vitroのリン酸化反応実験によりMEK1の下流の因子であるERK2がBc1-2ΔTMの87番目のセリンをリン酸化することが確かめられた。以上の結果より,Bc1-2ΔTMタンパク質は恒常的にERK2によって87番目のセリンがリン酸化されることで、抗アポトーシス活性が減少していることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)