2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホタテガイ外套膜に存在する新規ミオシンの機能と構造
Project/Area Number |
13680733
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Research Institution | MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
長谷川 靖 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (80261387)
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Keywords | ミオシン / ホタテガイ |
Research Abstract |
ホタテガイ外套膜組織よりクローニングしたミオシン頭部遺伝子は非常に興味深いことに既に多くの研究がなされてきたホタテガイ筋ミオシンとの相同性が低く、非筋タイプのミオシンに分類される新規ミオシンであることを明らかにしてきた。また昨年度、尾部領域をコードする遺伝子をクローニングし、このミオシン尾部の相同性検索の結果からも、このミオシンが非筋タイプミオシンに高い相同性を示すことを確認した。このミオシン尾部の構造は、他のミオシンIIに比べ200アミノ酸ほど短い特徴的構造を有し、さらにC末端領域にはホタテガイ横紋筋、平滑筋ミオシンには認められない10数残基のnon-helical tail部分そしてリン酸化部位をもつことを明らかにした。従来より、ホタテガイミオシンは哺乳類のミオシンとは異なり、重鎖へ結合した軽鎖へのカルシウム結合によってATPase活性の制御が行われることが報告されてきた。しかし、見出したミオシン遺伝子はホタテガイ筋ミオシンとの低い相同性から軽鎖のリン酸化など他の制御を受けている可能性が考えられた。そこで、このミオシンのATPase活性の制御機構を調べるため、このミオシンがもつ軽鎖成分の同定を試みた。軽鎖はミオシン重鎖の頭部と尾部の付け根に結合していることが知られていることから、この領域およそ200アミノ酸を大腸菌にて発現させ結合蛋白質の探索を行った。His-tagの付加した融合蛋白質をカラムに結合させこの融合蛋白質に結合する蛋白質を単離したところ、単離した4本の成分はおよそ17kDa-30kDaの従来知られてきたミオシン軽鎖の分子量にほぼ一致することがわかった。これらの蛋白質成分の部分アミノ酸を決定したところ,2つは既に明らかになっているホタテガイ筋ミオシンの軽鎖成分と一致するアミノ酸配列を有しており,他の2つの成分は従来知られてきたミオシン軽鎖成分とは相同性の認められないアミノ酸配列を有していることを明らかにした。しかしながら、現在のところこれらの新規結合成分が非筋ミオシンの軽鎖であるかどうか、確定するにはいたっていない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Hasegawa: "Complete nucleotide sequence of cDNA encoding myosin from mantle tissue of scallop Patinopecten yessoensis"Fisheries Sci.. 68. 403-415 (2002)
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[Publications] Y.C.Liu, K.Uchiyama, N.Natsui, Y.Hasegawa: "In vitro activities of components from scallop shells"Fisheries Sci.. 68. 1330-1336 (2002)