2001 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン共鳴法でみるチトクロム酸化酵素の鉄-銅複核中心のミクロ環境
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13680741
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 洋 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (20127294)
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Keywords | チトクロムC酸化酵素 / 大腸菌ユビキノール酸化酵素 / ヘム鉄-銅(Cu_B)複核中心 / P-中間体 / F-中間体 / 電子スピン共鳴(EPR) / 二重モード空洞共振器 / スピン-スピン交換相互作用 |
Research Abstract |
チトクロム酸化酵素は、生物の酸素呼吸を担う酵素である。本課題研究の目的は、本酸化酵素の活性中心の電子状態と酵素の反応機構との相関を明らかにする事である。 ●還元型チトクロムboと酸素飽和溶液を1ms以内に高速混合・凍結して5KでEPRスペクトルを測定した。本酵素と酸素分子との反応で生じるF型反応中間体で、Cu_B中心の信号がはじめて測定された。得られたEPRスペクトルには、Cu_B以外の金属中心の電子状態について、沢山の情報(酵素に含まれるキノン中心や、ヘムbと呼ばれる鉄中心の酸化還元状態の決定、Cu_Bの配位構造)が含まれている。 ●酸素還元反応サイクルに於けるP-中間体をEPRで捕捉する実験をチトクロムboと過酸化水素との反応中間体でおこなった。EPRで観測されたラジカル分子種がチロシンラジカルであるか否かを決定する為の実験を繰り返しているが再現性に問題が生じている。特に、酵素がもつ複数の金属中心の間での電子移動のタイミングが確立していないこと、酸素還元を行うヘム-銅Cu_Bの複核中心の情報が乏しいことが問題である。Cu_BのEPR信号は、酸化型酵素と過酸化水素の反応では検出できなかった。過酸化水素との反応で生じるF-中間体は、酸素との反応で生じるF-中間体とは異なることを示唆する。 ●完全酸化型チトクロムboのヘム鉄-Cu_B複核中心のEPR吸収はヘム鉄の電子スピンS=5/2とCu_BのS=1/2がスピン交換相互作用をなす系を含んでおり、整数スピン系のEPR遷移を示す。整数スピン系では遷移ΔS=1とΔS=2を区別して観測、解析する必要がある為、ΔS=1とΔS=2遷移を区別して観測できる二重モードEPR空洞共振器を設計、試作した。この二重モード共振器は共振器中の試料を取り替えることなく、簡単な調節のみでΔS=1とΔS=2遷移を別々に測定できる。市販品と同程度の感度を有する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] k.Takeuchi: "Adrenodoxin-Cytochrome P450scc Interaction as Revealed by EPR Spectroscopy : Comparison with Putidaredoxin-Cytochrome P450cam System"Journal of Biochemistry. 130. 789-797 (2001)
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[Publications] B.Venkatesh: "Coordination geometry of Cu-porphyrin inCu(II)-Fe(II) hybrid hemoglobins studied by Q-band EPR and resonance Raman spectroscopies"Journal of Inorganic Biochemistry. (印刷中). (2002)
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[Publications] S.Nagatomo: "Changes in the Abnormal α-Subunit upon CO-Binding to the Normal β-Subunit of Hb M Boston : Resonance Raman, EPR, and CD Study"Biophysical Chemistry. (印刷中). (2002)