2002 Fiscal Year Annual Research Report
氷核蛋白質タンデムリピートの立体構造と分子進化の研究
Project/Area Number |
13680746
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松嶋 範男 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (60137403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 勝利 北海道大学, 大学院・理学研究科・生物科学専攻, 教授 (80001858)
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Keywords | 氷核蛋白質 / リピート配列 / ループ構造 / グリシンリッチ蛋白質 / NMR / 分子進化 |
Research Abstract |
氷核活性細菌には氷核蛋白質が存在し、-5℃以上の温度で細胞外の水を凍らせ、細菌がみづからの細胞内での致命的な凍結を防ぐ働きをしている。この氷核蛋白質は、1000残基以上のアミノ酸からなる大きな蛋白質であり、3つのドメインに分けられる。それらは、N末端側のNドメイン、中央のリピードドメインであるRドメイン、そしてC末端側のCドメインである。Rドメインは、互いに似たオクタペプチドが連続して100回以上も繰り返している。特に、1番目のアラニンと5番目のセリンが強く保存されている。本研究の目的は、これまで知られている氷核蛋白質タンデムリピート配列を詳細に解析しその分子進化を議論し、また立体構造の研究に利用することである。また、タンデムリピートを形成するペプチド合成し、NMR法によりその立体構造を明らかにすることである。 これまで、10個の氷核蛋白質の塩基配列およびアミノ酸配列が決定されている。ドットプロット解析を含めたさまざまな解析から、Rドメインが4つのサブドメイン(R_N、R_1、R_2、R_c)に分けられることをみいだした。また、R_1とR_2ドメインでは、生物種内および生物種間においてリピート数が異なる著しい多型を示した。これらの結果にもとづいて、Rドメインのけるリピート配列の形成過程に関する一つの可能な進化モデルを提案した。 上述の配列解析の結果を踏まえ、すべての氷核蛋白質において保存性のよいオクタペプチドが3回繰り返した塩基性の24残基からなる次のアミノ酸配列(H-SGLRSVLTAGYGSSLISGRRSSLT-OH)を選択し、合成したペプチドのNMRによる立体構造研究を行った。NOEの結果は、LTAGYの配列においてターン構造をとることを示した。この結果から、オクタペプチドが2回繰り返した16残基ごとにターン構造をとることが示唆され、Rドメインの立体構造に関して三角形モデルを提案した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kumaki Y, Matsushima N, Yoshida H, Nitta K, Hikichi K.: "Structure of the YSPTSPS repeat containing two SPXX motifs in the CTD of RNA polymerase II. NMR studies of cyclic model peptides reveal that SPTS turn is more stable than SPSY in water"Biochim. Biophys. Acta.. 1548(1). 81-93 (2001)
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[Publications] Mitsuzawa H, Wada I, Sano H, Iwaki D, Murakami S, Himi T, Matsushima N, Kuroki Y: "Extracellular Toll-like receptor 2 region containing serine^<40>-isoleucine^<64> but not cysteine^<30>-serine^<39> is critical for the recognition of Staphylococcus aureus peptidoglycan"J. Biol. Chem.. 276(44). 41350-41356 (2001)
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[Publications] Hayashi N, Matsubara M, Jinbo Y, Titani K, Izumi Y, Matsushima N.: "Nef of HIV-1 interacts directly with calcium-bound calmodulin"Protein Sci.. 11(3). 529-537 (2002)