2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680747
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮田 真人 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50209912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 太郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30291082)
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Keywords | マイコプラズマ / 滑走運動 / モノクローナル抗体 / 接着分子 / 力発生 |
Research Abstract |
マイコプラズマ(Mycoplasma mobile)は、細胞壁のない原核生物で、フラスコ型の細胞形態を持つ。細くなった方の端でガラスの表面にはりつき、そのまま滑るように動く滑走運動を行う。その速度は毎秒2.5マイクロメートル(体長の約4倍)で、最大力は27ピコニュートン(ミオシンの3-5倍)にも達する。他の運動性バクテリアでかならず見られるような、べん毛や線毛も、さらには真核生物の細胞運動で一般的に見られる、ミオシンやキネシンのようなモータータンパク質も存在しない。そのため、この運動のメカニズムは現在の生物学では説明できない。本研究はこの未知のメカニズムを解明することを目的としている。マイコプラズマ細胞表面に対するモノクローナル抗体を作製し、多数の抗体の中から、滑走を特異的に阻害するものを選び出した。その結果、2つの抗体が取得された。一つは細胞の突出部付け根に局在するタンパク質を認識するもので、滑走中のマイコプラズマに加えると、ガラスへの結合が特異的に阻害された。その標的分子はN末端付近に膜貫通領域を持つ349キロダルトンの巨大タンパク質で、細胞あたり100分子存在していた。もう一つも細胞の突出部付け根に局在するタンパク質を認識していたが、滑走中のマイコプラズマに加えると、ガラスへの結合が阻害されることはなく、運動のみが特異的に阻害された。この抗体の標的タンパク質はN、C両末端近辺に膜貫通領域をもつ521キロダルトンのタンパク質だった。以上の結果は、349キロダルトンのタンパク質がガラスに張り付く役割(接着)を果たし、もう片方が、そのはりついているタンパク質を動かす役割(力発生)を果たしていることを示している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimizu, T., Miyata, M.: "Electron microscopic studies of three gliding mycoplasmas, Mycoplasma mobile, M.pneumoniae, and M.gallisepticum, by using the freeze-substitution technique"Current Microbiology. 40(印刷中). (2002)
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[Publications] Miyata, M., Ryu, W.S., Berg, H.C.: "Force and Velocity of Mycoplasma mobile Gliding"Journal of Bacteriology. 184. 1827-1831 (2002)
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[Publications] Miyata, M.: "In Herrmann, R. and Razin, S. (ed.), Molecular Biology and Pathogenicity of Mycoplasmas. Kluver Academic/Plenum Publishers"Cell division in mycoplasmas. (2002)