2002 Fiscal Year Annual Research Report
アラビドプシスのtRNAスプライシング・エンドヌクレアーゼの機能解析
Project/Area Number |
13680766
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
赤間 一仁 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (50252896)
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Keywords | tRNAスプライシング / tRNAスプライシング・エンドヌクレアーゼ / イントロン / アラビドプシス / バルジ・ヘリックス・バルジ |
Research Abstract |
イントロンを含む前駆体tRNAのスプライシングは酵素的な切断と連結反応によって行なわれる。切断に関わるtRNAスプラシング・エンドヌクレアーゼは古細菌から高等植物まで広く分布し、触媒ドメインに高い相同性が見られる。すでにアラビドプシスからエンドヌルレアーゼを構成すると推定されるサブユニット遺伝子(AtSen1,AtSen2)を単離して、その分子解析を行なっている。平成13年度ではこれら2種類の遺伝子を用い、大腸菌発現系により融合蛋白質の発現誘導と精製条件を確立し、前駆体tRNAを鋳型としたin vitroでの切断反応を行なった。本年度では、主にin vitro翻訳系を用いてよりnativeな遺伝子産物の合成を試み、それらを用いてtRNAスプライシング実験をおこなった。 実験手法:in vitro転写翻訳系を用いてAtSen1とAtSen2蛋白質を合成・精製した。次に、タバコ核tRNA^<Tyr>遺伝子を鋳型にしてT7RNAポリメラーゼによる転写反応を行い、イントロンを含む前駆体tRNA^<Tyr>を[α-^<32>P]GTP存在下で調整した。標識した前駆体tRNAとA精製蛋白質を混合し、28℃で1時間反応させた。反応産物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分画し、ゲルを一晩X線フィルムに感光した。 実験結果と考察:AtSen1とAtSen2はそれぞれ単独でイントロンを含む前駆体tRNA^<Tyr>の5'と3'のスプライス部位を切断することが分かった。興味深いことに、この反応はスプライス部位が点対称なバルジ・ヘリックス・バルジ(BHB)モチーフに存在する時に限られ、植物前駆体tRNAの多くが示すループ・ヘリックス・バルジ構造の基質では3'側のバルジ内でのみ切断が観察された。このことから、BHBは古細菌や酵母、動物のみならず、植物エンドヌクレアーゼにとっても普遍的な切断可能な構造であることが明かとなった。また、ループ・ヘリックス・バルジ構造の植物前駆体tRNA^<Tyr>の切断が3'側の境界配列でしか起こらなかったことから、酵母と同様に植物tRNAエンドヌクレアーゼ複合体も触媒サブユニット(AtSen1とAtSen2)以外の付加的な蛋白質が構成しており、完全な触媒作用の発揮のために必要なのかも知れない。実際アラビドプシス・ゲノム配列から酵母のSen15とSen54に類似した配列が検出されている。よって、次年度はこれらホモログ蛋白質とAtSen1・AtSen2との相互作用を調べると供に、こられ蛋白質のtRNAイントロンの切断反応に与える効果を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)