2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト染色体複製開始因子(ORC1)を中心とした染色体構築制御の解明
Project/Area Number |
13680786
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小布施 力史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (00273855)
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Keywords | ORC / ヘテロクロマチン / 染色体 / 質量分析 / 複合体 / 機能発現 / 複製 / 抗体 |
Research Abstract |
今年度および来年度の助成により、ヒト細胞における染色体複製因子が関与する細胞のプログラムされた機能の伝達、再構築のメカニズムを、複製開始複合体ORC(Origin Recognition Complex)を中心としたネットワークの分子の実体から明らかにする。特に今年度は、ORC複合体と結合する因子を同定し、ORC複合体の実体を明らかにすることを目的とし、交付申請に記した以下の計画について遂行した。 1.ORC1結合因子の単離、精製 ORC1を細胞核から抽出する条件を見いだし、ORC1に対する特異的な抗体を用いてワンステップで精製することに成功した。また、ORC1以外に何種かの相互作用因子を確認することができた。 2.ORC結合因子の同定 本学設置のイオントラップ型質量分析器による微量蛋白質同定システムを研究代表者が立ち上げ、本年度中に高感度で安定して運用することが可能となった。精製したORC1相互作用因子について解析を行ったところ、ORC1とともにORC2,0RC3,0RC4,0RC5が同定された。また、この解析によりORCのサブユニット以外の結合因子も見いだすことができた。 3.ORC複合体の解析 分子量分画によりORC1,-2,-3,-4,-5サブユニットからなる複合体がヒト細胞においても存在することが示された。また、いくつかの組み合わせのサブコンプレックスの存在も明らかにした。 4.ORC1結合因子の抗体の作成 ORCのそれぞれのサブユニットに対する抗体について評価を行い、様々な解析に用いることが可能であることを確認した。 5.ORC1の結合因子との結合性の検定 ORC1の欠失蛋白質を細胞内で発現させ、他のORCサブユニットとの相互作用、局在に関与するドメインを決定した。また、ORC複合体の細胞周期依存的な形成過程を明らかにした。 本年度の研究成果を踏まえ、来年度はORCが関与する細胞のプログラムされた機能の伝達、再構築の分子の実体を明らかにし、そのメカニズムについて知見をまとめる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tadokoro, R., Fujita, M., Miura, H., Shirahige, K., Yoshikawa, H., Tsurimoto, T., Obuse, C: "Scheduled Conversion of Replication Complex Architecture at Replication Origins of S cerevisiae during the cell cycle"J.Biol.Chem.. (in press). (2002)
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[Publications] Shikata, K., Ohta, S., Yamada, K., Obuse, C., Yoshikawa, H., Tsurimoto, T.: "The Human Homologue of Fission Yeast cdc27, p66, Is a Component of Active Human DNA Polymerase δ"J.Biochem.. 129. 699-708 (2002)