2002 Fiscal Year Annual Research Report
微小管依存的に中心体に集積する新規オルガネラの同定と解析
Project/Area Number |
13680794
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
椎名 伸之 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (30332175)
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Keywords | mRNA / 輸送 / シナプス可塑性 / staufen / FMRP / CaMキナーゼII / BDNF / p105 |
Research Abstract |
p105タンパク質は、当初は中心体に集積する新規タンパク質として我々が同定したものである。解析が進むにつれ、p105は、大脳樹状突起に特異的に発現していること、またリボソーム・mRNAとともに細胞質粒子を形成することがわかってきた。このことから、p105は神経樹状突起mRNA輸送複合体の全く新しい構成要素であると考えられた。mRNA輸送複合体とは、神経細胞の樹状突起内へmRNAを輸送し、シナプスにおいて長期増強刺激依存的に局所的にタンパク合成をおこなうための装置である。この局所的翻訳システムは、ひとつの細胞内に多様なシナプスを形成させるためにたいへん重要であり、シナプス可塑性に必須なシステムだと考えられている。 本年度の研究によって、p105複合体には、シナプス形成に関与する翻訳調節因子(FMRP)やmRNA輸送因子Staufen)など興味深い因子が局在することを明らかにした。また、微小管およびアクチンモータータンパク質も局在し、これら細胞骨格依存的に複合体が細胞膜の直下まで輸送されることがわかった。さらに、この複合体によって輸送されるmRNAには、シナプス可塑性に深く関与するもの、例えばCaMキナーゼIIαやBDNFのmRNAが含まれていることがわかった。以上の結果から、p105は、脳のシナプス可塑性に関与するmRNA輸送・翻訳制御複合体の新規構成因子であることが明らかになった。
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