2001 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエル卵片を用いた遺伝子機能の新しい解析法による体軸形成機構の解明
Project/Area Number |
13680810
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂井 雅夫 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40162268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西松 伸一郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20222185)
|
Keywords | アフリカツノガエル / ゼノパス / Veg-T / 卵片 / 体軸形成 / 原腸陥入 / Xbra |
Research Abstract |
アフリカツメガエル卵の植物極を受精直後に除去した。除去量が比較的多いときには(表面積比で60%以上)、永久胞胚様の原腸陥入しない胚(permanent blastula type embryos : PBEsと略す)、中間的な除去量のときには(表面積比で20-40%)、原腸陥入する背側軸構造のない胚(gastrulating non-axial embryos : GNEsと略す)が得られた。PBEs、GNEsとも背側形成に関わる遺伝子は発現しないが、PBEsでは中胚葉特異的遺伝子Xbraの発現もないのに対してGNEsではXbraの発現があった。我々は、PBEsは外胚葉のみからなるモデル系であり、GNEsは外胚葉と内中胚葉からなるモデル系であると考えている。 これまでに、PBEでは内中胚葉を指定するデターミナントであると考えられているVeg-Tが発現しておらず(GNEでは発現している)ことをin situ hybridizationにより確かめた。さらに、PBEにGNEの細胞質を注入することによりVeg-TmRNAが導入されることをin situ hybridizationで確認した。この細胞質注入胚では原腸陥入、Xbraの発現が起こった。Veg-TmRNAの注入でも同様に原腸陥入、Xbraの発現が起こった。この結果は、特定の細胞質の注入によって特定のmRNAが実際に移動したことを示す最初の例である。Veg-TmRNAの存在の有無と、原腸陥入、Xbra発現の有無がよく一致したので、Veg-TmRNAはこれらのプロセスに必須の因子であることが示された。
|