2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病amyloid β peptide産生機序の解明
Project/Area Number |
13680814
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛 龍雲 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40271910)
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Keywords | アルツハイマー病 / amyloid β / α切断 / β切断 |
Research Abstract |
Aβの前駆体であるAPPのプロセッシングにはα切断経路とβ切断経路があり、Aβはβ切断経路を経て最終的にγ切断によって、C末端の長さの異なる2つの主要な分子種Aβ40とAβ42として産生される。AβはAD発症の根幹に関与する因子と考えられており、Aβ産生に伴うAPPのプロセッシングの解明はADの病因を明らかにする上で重要である。我々は、13年度に実施した研究を通じて、APPのプロセッシングに際して、γ切断が先でα/β切断が後で行われる経路が存在する可能性は低いことを証明した。つまり、APPのプロセッシングはα/β切断がまず起こり、続いてγ切断が起こるのが唯一の経路である。このことを前提にして14年度には、細胞内におけるAβ産生のcompartmentに関する研究を行い、新たな知見を得た。野生型APPと共に13年度に作製したα切断を選択的に抑制するAPP変異体(Aβ17L→E)とβ切断を選択的に抑制するAPP変異体(Aβ1D→G)に、ER-targeting motifを付加したAPPkk、APP_<17E/KK>、APP_<1G/KK>を作製した。APP_<17E/KK>とAPP_<1G/KK>はそれぞれα切断あるいはβ切断が抑制され、かつ細胞内compartmentであるERにその発現が集積するようになる。これらの変異体のβ切断あるいはα切断に対する反応性を調べたところ、α切断とβ切断が共に生じていることを確認した。次に、Golgiを破壊することによって蛋白のsortingがERで停止させる薬剤であるbrefeldin Aを用いて、ERにおけるAPPのプロセッシングを調べたところ、α切断は確認できたがβ切断は確認できなかった。このことから、従来細胞内におけるα切断部位として細胞表面が挙げられているが、これに加えてERにおいても、α切断が行われることが明らかとなった。
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[Publications] Yamamoto A., Shin R.-W., Hasegawa K., Naiki H., Yoshimasu Y., Kitamoto T.: "Iron (III) induces aggregation of hyperphosphorylated tau and its reduction to iron (II) reverses the aggregation : implications in the formation of neurofibrillary tangles of Alzheimer's disease"J.Neurochem.. 82. 1137-1147 (2002)
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[Publications] Kitamoto T., Mohri S., Ironside J.W., Miyoshi I., Tanaka T., Kitamoto N., Itohara S., Kasai N., Katuski M., Higuchi J., Muramoto T., Shin R.-W.: "Follicular dentritic cell of the knock-in mouse provides a new bioassay for human prions"Biochem.Biophys.Res.Com.. 294. 280-286 (2002)
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[Publications] Shin R.-W., Kruck.T.P.A., Murayama H., Kitamoto T.: "A novel trivalent cation chelator Feralex dissociates binding of aluminum and iron associated with hyperphosphorylated tau of Alzheimer's disease"Brain Res.. 961. 139-146 (2003)
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[Publications] Kuazi D.A., Kito K., Abe Y., Shin R.-W., Kamitani T., Ueda N.: "NEDD8 involvement in the ubiquitinated inclusion bodies"J.Pathol.. 199. 259-266 (2003)