2002 Fiscal Year Annual Research Report
マムシとパイソンの赤外線受容器(ピット器官)の血流調節機構と自律神経系の比較
Project/Area Number |
13680825
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
跡部 好敏 横浜市立大学, 医学部・解剖学第二, 助手 (60264602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 真人 横浜市立大学, 医学部, 助手 (50237351)
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Keywords | マムシ / 赤外線受容器(ピット器官) / ピット器官血管網 / 局所血流量調節機構 / 血流速度 / FITC標識ラテックスビーズ / 蛍光落射高倍率実体顕微鏡 / 高感度高速度ビデオカメラ |
Research Abstract |
マムシおよびパイソンの赤外線受容器(ピット器官)は、侵襲を加えることなく、その密な血管網を体表より観察可能である。このことに注目して、赤外線刺激を受容した際のピット器官血管網の血流量変化をレーザードップラー血流量計で測定する実験を行ってきた。その結果、いずれの動物においても赤外線刺激を加えた直後と切った直後4.5ミリ秒以内にピット器官血管網の局所血流量が一時的に急増することが明らかになった。赤外線刺激をピット器官が受容した際に、同部に分布する動脈、毛細血管、静脈のそれぞれの血管径が瞬時に変化して、この局所血流量の急激な変化が引き起こされると予想されるが、レーザードップラー血流量計では個々の血管の変化を捉えることはできない。この赤外線刺激受容に対応する局所血流量調節機構を解明する目的で、マムシピット器官に分布する各血管内における血流速度を具体的数値として測定する研究を開始した。計測には、血管内を移動する赤血球の移動速度を直接測定するのが理想的であるが、未標識の個々の赤血球を同定するのは困難である。そこでピット器官血管網における血流の移動を明らかな光点として記録するために血中に直径3μmのFITC標識ラテックスビーズを注入し、観察には、蛍光落射高倍率実体顕微鏡と高感度高速度ビデオカメラを組み合わせたシステムを導入した。このシステムは、最高1000コマ/秒の動画記録を行うことが可能である。画像解析ソフトを用いて動画記録を解析した結果、平常時におけるマムシピット器官血管網の血流速度は、動脈では400〜1000μm/秒、毛細血管内では200〜400μm/秒、静脈内では400〜700μm/秒であることが初めて判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hisajima T, Kishida R, Atobe Y, Nakano M, Goris RC, Funakoshi K: "Distribution of myelinated and unmyelinated nerve fibers and their possible role in blood flow control in crotaline snake infrared receptor organs"Journal of Comparative Neurology. 449. 319-329 (2002)
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[Publications] Goris RC, Atobe Y, Nakano M, Hisajima T, Funakoshi K, Kadota T: "The Microvasculature of python pit organs : Morphology and blood flow microkinetics"Microvascular Research. (in press).