2001 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイトが発現する脱髄関連プロテアーゼに関する研究
Project/Area Number |
13680830
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
吉田 成孝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20230740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩坂 貞夫 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90127233)
|
Keywords | セリンプロテアーゼ / オリゴデンドロサイト / L1 / 脊髄損傷 / 脱髄 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.研究の目的 ミエリンタンパク質の分解は軸索再生において非常に重要なステップである。オリゴデンドロサイトは中枢神経系でのミエリン形成細胞であるが、中枢神経損傷時のミエリン分解にオリゴデンドロサイトがどのように関わっているかはこれまで明らかでなかった。そこで、本研究はオリゴデンドロサイトのプロテアーゼの機能をミエリン分解に焦点を絞って明らかにすることを目的とする。 2.損傷後のプロテアーゼの発現 未処置のマウスの脊髄ではニューロプシンの発現は見られないが、脊髄損傷後に新たなニューロプシンの発現が見られた。また、未処置のマウスの脊髄でプロテアーゼMプローブを用いてin sutuハイブリダイゼーションを行ったところ、オリゴデンドロサイトの約半数にプロテアーゼM mRNAの発現がみられ、損傷後にはその発現が有意に上昇した。プロテアーゼM蛋白に対する抗体を用いて免疫組織化学にて蛋白発現を観察した結果、免疫陽性の細胞は白質に認められ、その分布はmRNAのものと同様であった。電子顕微鏡で陽性構造の微細構造を観察したところ、オリゴデンドロサイトの細胞体のみでなく、突起やミエリンの一部にも陽性構造が観察された。 3.基質の探索 ニューロプシンの基質の候補として様々な細胞外タンパク質が考えられるが、現在まで検討した中で細胞接着因子L1が最もよい基質である。そこで、脊髄損傷後にL1の発現が変化するかどうかを検討した。その結果、未処置マウスの脊髄では後角表層の線維と後索の線維の一部に陽性構造が認められたものが、損傷後には後角深層に進展する線維の一部に陽性構造が認められるようになった。 4.結論 以上より、脊髄の損傷により、プロテアーゼ及びその基質と考えられるL1の発現に大きな変化が生じることが明らかとなった。次にはこれらの分子の病理作用に関して検討を進める。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Shimizu-Okabe, C.: "L-isoform but not S-isoform of myelin associated glycoprotein promotes neurite outgrowth of mouse cerebellar neurons"Neurosci. Lett.. 311. 203-205 (2001)
-
[Publications] Kuwae, K.: "Epidermal expression of serine protease, neuropsin (KLK8) in normal and pathologic skin"Molecular Pathology. (印刷中). (2002)