2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680863
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 正洋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60313102)
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Keywords | 神経新生 / 鋤鼻神経 / ネスチン / GFP |
Research Abstract |
嗅覚系神経上皮における神経細胞の増殖と分化の様相を明らかにするため、成体マウスの片側の嗅球を外科的に除去して片側の神経上皮の神経増殖を促し、増殖細胞を核酸アナログであるBrdUを投与して標識した。無処置側の神経上皮でも常にBrdU陽性細胞が基底層に存在しており、常時新しい神経細胞が産生されていることが示された。また、嗅球除去側の神経上皮ではBrdU陽性細胞の数が明らかに増加していた。嗅覚系の神経上皮は、匂い分子を感知するいわゆる嗅上皮と、フェロモン分子を感知する鋤鼻神経上皮があるが、嗅球除去によるBrdU陽性細胞の増加は鋤鼻神経上皮においてより著しかったため、鋤鼻神経上皮が神経再生のメカニズムを解析する上で理想的な系であることが分かった。ネスチン-GFPマウスにおけるGFP陽性細胞も、嗅球除去後の鋤鼻神経上皮で著明に増加していた。嗅球除去後の鋤鼻神経上皮においてGAP-43, beta-III tubulin, neuron specific enolase, NeuNなど神経細胞の分化マーカーの発現を検討し、新生鋤鼻神経の分化過程を解析したところ、ネスチン-GFPマウスにおけるGFPが増殖後から未分化な段階の間の新生神経細胞に発現していることが分かった。 以上、本年度では神経新生を最も効果的に解析するための対象部位、時期、GFPマウスの利用法についての知見が得られ、Notch, delta, BMPの発現を含めた神経新生分子メカニズムの解析、鋤鼻神経の培養系の確立、GFPによる未分化鋤鼻神経細胞のsortingを進めていくための基盤を作ることができた。
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