2001 Fiscal Year Annual Research Report
ファージディスプレイ法を用いたシナプス部位蛋白相互作用の解析
Project/Area Number |
13680868
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森吉 弘毅 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50263091)
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Keywords | 神経科学 / 蛋白質 / ファージディスプレイ法 |
Research Abstract |
中枢神経シナプスにおける蛋白相互作用を網羅的に検索し、未知の相互作用を検出することを目的として、ファージディスプレイ法の導入を試みた。 細胞-細胞間での相互作用に重点を置いて検索することを考え、特にシナプス間隙に局在する代表的な蛋白質であるグルタミン酸受容体の細胞外領域を対象として相互作用のパートナーを検索する事にした。bait蛋白として、NMDA型グルタミン酸受容体1型、代謝型グルタミン酸受容体1型の細胞外領域のみの組み換え蛋白をバキュロウイルス発現系を用いて大量生産・精製し、これを担体に結合させて用いた。ファージディスプレイライブラリとして、マウス脳のmRNAから調整したcDNAを組み込んだT7ファージのライブラリを作成し、700-800アミノ酸程度の大きな蛋白質もファージ上に融合蛋白として発現していることを確認した。このライブラリを用いて組み換えグルタミン酸受容体蛋白に結合するファージを濃縮・精製し、結合蛋白のDNAシークエンスを決定した。その結果、ユビキチン系を構成する蛋白質の一一つであるfbx2がNMDA型グルタミン酸受容体に強い結合を示す事が判明した。さらに結合の性質を解析したところ、このfbx2は受容体細胞外領域を修飾しているN型糖鎖に結合していることがわかり、NMDA型グルタミン酸受容体以外にも多くの糖鎖修飾を受けている膜蛋白と結合しうることがわかった。 このfbx2は構造から考えてこれらの糖蛋白をユビキチン系を介して分解する作用を持っていると考えられ、糖蛋白の品質管理や発現量の制御に関わっている可能性がある。受容体蛋白の発現量の変化は神経機能にも直結する問題であり、この観点から生理的機能の解析を進めている。
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