2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの能動的視覚注意の維持に関与する皮質機能統合の脳磁図・脳電図による解析
Project/Area Number |
13680876
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
浅田 博 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (50151030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 冨美雄 大阪府立看護大学, 看護学部, 教授 (50183687)
外池 光雄 産業技術総合研究所, 関西センター・ライフエレクトロニクスセンタ, 副ラボ長
福田 淳 大阪大学, 医学系研究科・情報生理, 教授 (90028598)
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Keywords | 自発性瞬目 / 能動的注意 / 脳磁場 / 後頭部皮質活動 / 瞬時暗転刺激 / 画像刺激 / 視覚イメージ |
Research Abstract |
自発性瞬目およびその擬似的な暗転刺激により出現する後頭部皮質活動を、脳磁図を用いて記録し、視覚注意や視覚画像が異なる条件下での比較検討を行った。 画像注視中に出現する自発性瞬目直後において、暗転刺激と比較することで、視覚入力の再開と関連した有線野および高次視覚野の活動を反映した後頭部磁場活動が推定された。視覚対象のない条件を含めた非注視中の瞬目では、これらのうちの遅い反応波の消失または抑制が見られた。この結果は、非注視中の瞬目では、瞳孔再開時に新たに入力される視覚情報が、視覚野での低次レベルでの処理により瞬目中の画像充填が行われている可能性を示した。 本年度においては、同じ画像刺激に対し、聴覚刺激に注意を配分させた場合の、後頭部皮質活動の違いについて検討を行った。同じ網膜画像であるが、(1)実画像に注意を向けたとき、(2)同じ実画像を見るが、焦点をあわさず、脳内のイメージとしての別画像に注意を向けたとき、(3)実画像に焦点を合わしているが、聴覚刺激に注意を向けたとき、の3条件にづいて比較すると、(1)(3)においては同様の後頭部反応が得られたが、(2)でのみ遅い後頭部反応の抑制が認められた。本研究結果から、自発性瞬目時の網膜画像充填に働く制御機構は、焦点をあわせた(能動的注意をむけた)網膜画像に対する処理が行われているとき発現し、そのとき視覚イメージ以外の聴覚刺激に注意が配分されていてもその制御機構は働くが、網膜像以外の脳内の視覚イメージに注意が向くとその働きが抑制されると考えられた。すなわち、瞬目においても、能動的注意の方向性により画像処理のスイッチング機構が働いている可能性が示唆された。 自発性瞬目はこれまで、脳波や事象関連電位などを用いた視覚研究においてはむしろ邪魔物として扱われてきたが、この頻繁に生じる自発性瞬目における強固な視覚の維持過程に着目すれば、むしろ、注意や感覚記憶、認知過程のしくみなど、知覚の脳内過程を解明する手がかりを与えてくれる可能性を示すことができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 浅田博: "選択的注視時の視覚情報維持に関与する頭頂後頭部皮質-自発性瞬目および暗転刺激反応の脳磁図解析-"臨床脳波. 44巻4号. 229-233 (2002)
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[Publications] 浅田博: "注意と画像の有無が影響する瞬目直後の後頭部皮質反応の脳磁図解析"生理心理学と精神生理学. 20巻2号. 178 (2002)
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[Publications] Hiroshi Asada: "EFFECTS OF VISUAL ATTENTION ON OCCIPITAL ACTIVITIES INDUCED BY BLINKS : A MEG STUDY ON HUMAN SUBJECTS"Abstract of Neuroscience 2002 Annual Meeting. (CD-ROM). (2002)
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[Publications] 浅田博: "自発性瞬目における後頭皮質視覚活動の脳磁図による解析"神経眼科. 20巻1号(印刷中). (2003)