2001 Fiscal Year Annual Research Report
小鳥歌学習時の誤差信号によって誘導される脳可塑性の分子機構
Project/Area Number |
13680878
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
坂口 博信 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (30162291)
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Keywords | ジュウシマツ / キンカチョウ / 歌学習 / 聴覚フィードバック / 歌制御中枢 / 脳可塑性 / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
1.プロテインキナーゼC(PKC)阻害剤の蛍光誘導体rim-1をプローブにして、キンカチョウの歌制御中枢におけるPKCの分布と日齢変化を調べると、歌学習臨界期の歌制御中枢RAの細胞体や神経終末に多量に発現している(NeuroReport,1997)。PKCのサブタイプの抗体の免疫組織化学によって、RAで、歌学習臨界期に強い免疫陽性終末を発現するのは、PKCβ1であることがわかった。 2.ジュウシマツ成鳥雄を用い、蝸牛管摘出による聴覚フィードバック阻害前後の歌を音響学的に解析した。その結果、それまで安定していた歌は手術後1週間頃から変化し始め、1ヶ月間は歌は不安定であったが、その後、安定して、基本音の高いシラブルの著しく減少した歌となった。この時、ジュウシマツの脳内にどのような変化が起こっているのか、シナプス可塑性の分子マーカーであるPKCβ1の抗体を用い、免疫組織学的に調べた。その結果、正常個体の歌制御中枢RAではPKCの発現は認められなかったが、聴覚入力遮断個体のRAでは、手術後2週間でPKC発現による染色濃度が一過性に上昇し、その後はしだいに減少していった。 このPKCの発現の上昇・下降の過程は、手術後の歌の経時的変化とほぼ平行していた。このことは、聴覚フィードバック阻害が、ジュウシマツの脳のRAに、PKC発現上昇を伴う神経回路の可塑性を誘導したことを示唆している(NeuroReport,2002).この誘導は、RAへの歌学習回路からの誤差信号によると考えられ、今後、PKCを活性化するどの様な分子メカニズムによるのか明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)