2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13680917
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Research Institution | RIKEN (The Institute of Physical and Chemical Research) |
Principal Investigator |
岩里 琢治 理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, 研究員 (00311332)
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Keywords | Emx1 / 条件的遺伝子欠損マウス / マウス発生工学 / トランスジェニックマウス / PAC / 脳科学 / 発生学 / Cre |
Research Abstract |
大脳皮質は脳の高次機能をになう領域である。本研究では、その発達、機能を分子レベルで理解するために、大脳皮質特異的遺伝子改変システムの開発とその応用を行った。昨年度Cre抗体による免疫組織化学的解析の条件検討を行い最適な条件を見つけた。今期は、その条件に従って、Emx1-CreマウスにおけるCre蛋白の発現を検討した。その結果、3種類のトランスジェニックマウスのすべてで、成体においてもCre蛋白の発現が維持されていることを確認した。また、昨年度Cre酵素によるIoxP配列の組換えをCAG-CAT-Zという1種類のLacZレポーターを用いて解析し、3種類すべてで大脳皮質特異的であることを見つけたが、今期はROSA26という別の系統のレポーターマウスを用いて同様の実験を行った。その結果、CAG-CAT-Zによる解析と同様に、大脳皮質特異的に組換えが起きるという結果が得られた。Cre酵素による組換えのパターンは、対象とするIoxPによって異なった結果を生み出すことが知られているが、私達のEmx1-Creトランスジェニックマウスに関しては、対象とするIoxPの影響は小さいあるいは無いと考えられる。従って標的遺伝子を操作する上で汎用性の高いCreマウスの作製に成功したといえる。そして、このシステムを体性感覚野の形態学的発達の解析に応用した。また、3系統のトランスジェニックマウスの全てで、大脳皮質特異的なCre発現が見られたことから、今回の研究で用いたPACには、Emx1遺伝子の発現を大脳皮質に限定する制御因子のすべてが含まれることがわかった。現在までにそのような特異性の高いプロモーターの報告はなく、この大脳皮質特異的なプロモーターの有用性は高い。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Datwani, A*., Iwasato, T*+., Itohara, S., Erzurumlu, R.S.+ *The first two authors contributed equally to this work.+The corresponding authors: "Lesion-induced thalamocortical axonal plasticity in the Si cortex is independent of NMDAR function in excitatory cortical neurons"J. Neurosci.. 22巻. 9171-9175 (2002)
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[Publications] Datwani, A.Iwasato.T., Itohara, S., Erzurumlu, R.S.: "NMDA receptor-dependent pattern transfer from afferents to postsynaptic cells and dendritic differentiation in the barrel cortex."Mol. Cell. Neurosci.. 21巻. 477-492 (2002)
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[Publications] 岩里琢治, 糸原重美: "マウス遺伝学による神経回路網精緻化の研究"生体の科学. 54巻2号(印刷中). (2003)
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[Publications] 岩里琢治(分担執筆): "「神経活動依存的メカニズムによる脳回路発達」みる見るわかる脳・神経科学入門講座(下)"羊土社. 15 (2002)