2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖関連遺伝子改変によるβ-ガラクトシドーシス疾患モデルマウスの作出と解析
Project/Area Number |
13680918
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松田 潤一郎 国立感染症研究所, 獣医科学部, 室長 (60181731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝本 一広 国立感染症研究所, 動物管理室, 研究員 (70280766)
鈴木 治 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究官 (70235935)
|
Keywords | β-ガラクトシドーシス / ガングリオシドーシス / β-ガラクトシダーゼ / リソゾーム病 / 疾患モデル / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 糖鎖遺伝子 |
Research Abstract |
GM1ガングリオシドーシスは、リソゾーム性β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)遺伝子の変異による神経遺伝病であり、乳児型、幼児型、成人型がある。私たちはすでにβ-Galノックアウト(KO)マウスを作成し、重症型のGM1ガングリオシドーシスモデルであることを示している。本研究では、よりヒトの病気に近いモデルとして、重症度、発症時期などの異なる多様な臨床型に対応するモデルマウスを作出し、さらにガングリオシド合成能を高めることで蓄積が早期に起こり発症が早くなるような病態モデルの作成を目的とした。本年度の成果は次の通りである。(1)昨年度作出した幼児型ヒト変異β-Gal発現マウス(TG/KO、BK48)の詳細な病態解析を行った。本マウスの大脳のβ-Gal活性は、野生型マウスに比較するとその4.1%であり非常に低いが、β-GalKOマウス(1.9%)に比べると明らかに高く、これはヒト幼児型変異酵素の活性発現によると見なされた。本マウスは10か月令頃から挙尾と歩行異常を示し、その後、振戦、重度の歩行異常を示し約15か月齢(454±61日、平均±SD、n=6)で死亡した。同腹のβ-GalKOマウスの寿命(292±22日、n=11)に比べ約5か月の延長が見られた。3か月齢の大脳のGM1の蓄積は、本マウスでは、野生型マウスに比べ2倍以上に増大していたが、β-GalKOマウスに比べるとその蓄積量は2割程度と少なかった。病理学的にも、3か月齢において神経細胞の腫大は認められるが、その程度はβ-GalKOマウスに比べ軽度であった。本モデルマウスは、ヒト変異酵素による残存酵素活性を示すことにより、発症が遅延するタイプのGM1ガングリオシドーシスモデルであると考えられた。(2)GM1/GA1合成酵素遺伝子導入マウスを5ライン作出した。今後、遺伝子発現を確認する予定であり、KOマウスとの交配を行い、早期発症型のモデルマウスを作出する予定である。
|